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愛着理論-DMモデルの「Aタイプ」とは?|その特徴や愛着障害の克服の仕方は? それには安全基地が必要

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愛着理論-DMモデルには「Aタイプ」がある。その解説をする。また「愛着障害」についても言及する。

「愛着」とは?

まず「愛着」とは特定の人に対する特別な結びつきのことだ。また、人格のもっとも土台の部分を形造っているものである。脳内のホルモン作用がかかわる生理学的な仕組みである。その型として愛着タイプ・愛着スタイルというものがある。それは対人関係の在り方に大きな影響を与えるものである。また愛着タイプ・愛着スタイルは人付き合いだけでなく、その人の生き方にも大きな影響を与えている。

不安定な愛着を抱えていると、対人関係や人生に課題や困難を抱えやすい傾向がある

不安定な愛着とは何だろうか。産みの母との関わりを筆頭に、父、育ての母、祖父母など、さまざまな他人との関わりが愛着スタイルを形作っていくことになる。社会で生きるとは人付き合いの連続であり、その原点となるのが彼らである。彼らとの付き合いによって、相手に助けを求めることや、その結果をどれだけ期待するかといった愛着が形造られる。その型の愛着タイプや愛着スタイルは人付き合いだけでなく、その人の生き方にも大きな影響を与えている。

「愛着理論-DMモデル」とは?

愛着理論とは、「全ての人は生まれながら、親密さと安心を得ようとする欲求を持ち、自分を守ってくれると感じられる人からそれを得ようとする」という前提をもとに展開される理論である。そして、「DMモデル」を省略せずに記すと、「動的-成熟モデル(Dynamic Maturational model=DMM)」である。DMモデルとは「成人愛着面接(AAI=Attachment Adult Interview)」へのアプローチの一つなのだ。ここで一番大事なのは、この成人愛着面接とDMモデルにより、「愛着タイプ」が判明する。

成人愛着面接とは、内的作業モデルを評価する手段である。この内的作業モデルは、対人関係・社会的行動のテンプレートといえる。 愛着対象と自身の関係をもとに、新たに遭遇する他者のふるまいを予測・解釈し、自分の行動を決定していく。そのテンプレートである。

成人愛着面接では対象者とインタビューワーが面接方式で、内的作業モデルを評価する。この手段の特徴は、対象者が重要な事実を話しやすく、話すことで理解することがしやすい点である。DMモデルやABCDモデルは、この成人愛着面接を作成するための元になる。

DMモデルはABCDモデルより細かく正確に把握することができる。ABCDモデルでは、安定型愛着スタイル以外のパターンでは、研究時に一種の妥当性や適応性が考慮されていなかった。また、ABCDモデルを安定型・不安型などのような名称(愛着スタイル)で呼ぶのは、無礼で軽蔑的な面を含むとされ、ABCDモデルの提唱者より呼称が推奨されていないのである。

・セキュアベースという言葉は、ジョン・ボウルビィとメアリー・エインワースによる戦後の「愛着理論」研究から生まれた。愛着理論は、「すべての人は生まれながらにして、親密さと安心を得ようとする欲求を持っており、自分を守ってくれると感じられる人からそれを得ようとする」という前提のもとに展開される理論である。
(引用 : 『セキュアベース・リーダーシップ』著者:ジョージ・コーリーザー、スーザン・ゴールズワージー、ダンカン・クーム 訳者:東方 邪美 プレジデント社 初版)
・Bowlby(1969,1973,1980)の仮定によれば、子どもは愛着対象との日々の具体的相互作用を通して、徐々に、愛着対象への近接可能性および愛着対象の情緒的応答性等に関する主観的確信、自己と他者の関係性全般に関する一般化された表象、すなわちIWMを形成するという。いったんこのIWMが固まり始めると、子どもはこれを1つのテンプレートとして様々な対人関係に適用し始める。愛着対象と自身の関係スタイルを基盤に、新たに遭遇する他者のふるまいを予測・解釈し、自分自身の行動のプランニングを行うようになる。結果的に、愛着対象と自身との関係に近似したスタイルが再生産されることになり、それを通じてまた、個人はそのIWMをさらに強固にしていくことになり、ひいては人格の同一性が保持されることになると仮定していた(詳細は遠藤,1992,1993)。(引用 : 『日本人母子における愛着の世代間伝達』数井みゆき 遠藤利彦 田中亜希子 坂上裕子 菅沼真樹 一般社団法人日本教育心理学会 第48巻第3号)

愛着タイプの分類

Bタイプ、Aタイプ、Cタイプ、ACタイプ・A/Cタイプ、IOタイプ(その他の不安定型)がある。


(参考 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版 【図1.1 成人期におけるアタッチメント方略の動的-成熟モデル】)

他の愛着タイプの特徴は以下の記事で詳しく説明している。

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各人を「成人愛着面接(AAI)」によって評価する

成人愛着面接 (AAI=Adult Attachment Interview) とは、面接により成人の愛着の状態を評価するものである。 先に述べた、内的作業モデルを評価する手段である。 対人関係上の問題や危機から自らを守ることに関連した問題を解決するために成人が用いる方略を調べるのに使われる。AAIに対するDMMアプローチは母親に関する研究を超えて、危機、生殖、自分の子どもへの脅威という全範囲にわたる成人の関心を扱っている。

・実際、AAIは、対人関係上の問題や危機から自らを守ることに関連した問題を解決するために成人が用いる方略を調べるのに関連しているように思われる。そして、これらの問題は夫婦関係や家族機能や個人のメンタルヘルスや恐らくは専門的職業的成功にとって重要である。危機と性愛の機会に関連した心的情報処理の方略に焦点を当てることは特に精神病理と犯罪行為のケースに関わってくる。AAIに対するDMMアプローチは母親に関する研究を超えて、危機、生殖、自分の子どもへの脅威という全範囲にわたる成人の関心を扱うのである。
(引用 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

愛着理論-DMモデルの修正項目

愛着理論-DMモデルに修正項目がある。愛着タイプとは別に、心理的機能の広範囲にわたって影響を与えるものである。自己を守ったり、安全な生殖行動を促進したり、自分たちの子孫を守るための方略が機能不全を起こしている状態となる。

「抑うつ」・「失見当」・「再構成」・「否定的情動の侵入」・「身体表現症状」・「トラウマまたは喪失の未解決」という6つの修正項目がある。そして、トラウマまたは喪失の未解決には14の異なる形式がある。「軽視型」・「置き換えられた」 ・「遮断された」 ・「否認された」 ・「妄想的に修復された」 ・「とらわれ型」 ・「代理の」 ・「予期された」 ・「想像された」 ・「示唆された」 ・「ほのめかされた」 ・「妄想的に復讐的な」・「抑うつ的」 ・「無秩序型」である。

愛着理論-ABCDモデルとは違い、無秩序型などを修正項目として用いている。

「Aタイプ」の特徴

一言で表すと「自己の軽視」となる。

Aタイプと関連する主要な心的過程は (a) 自己と他者と人間関係の肯定的特徴と否定的特徴を分割すること、そして (b) アタッチメント対象の否定的情動に用心深く注意を払いつつも、自身の心的処理や行動からは否定的情動を軽視することである。これを機能面から見ると、(a) 自己を自身の感情から遠ざけること、 (b) アタッチメント対象についての否定的結論を軽視すること、そして、 (c) 人間関係の否定的特徴を自分自身のせいにすること、である。情動と認知の「分割」の過程は、一部の情報についてはそれ以上処理を進めないようにしておく一方で、他の情報についてはさらに変換を進めていくことを伴う「分離disassociative」という過程がみられる。つまり、無意識的か意識的かどちらにしても「見たくないものは見ない」ということである。

Aタイプは、アタッチメント対象の否定的側面と自己の否定的情動に関する情報を処理から排除する。この情報が欠けていると、意味記憶的な情報が絶対的であるように見え、それゆえに、アタッチメント対象の理想化もしくは免責という方向へと歪曲されるのである。否定的情動が表出されないことで、その経験について肯定的感情を持つことが可能になる。

Aタイプは、アタッチメント対象の肯定的特徴を中心に組織化された方略 (奇数方略A1、A3、A5、A7) と、主に自己の否定的特徴を中心に組織化された方略 (偶数方略A2、A4、A6、A8) とに二分されている。とりわけ重要なことは、どのAタイプも、話し手自身の視点と真に否定的な感情 (たとえば、怒り、恐れ、慰めへの欲求) が欠けているということである。意識から感情が排除される方法は方略によって変わる。排除はすべてのAタイプの逐語記録に共通して見られるものである (しかし、たとえば肯定的情動や恥やアタッチメント対象の感情、などは含まれるかもしれない)。

A1-2タイプ : 身体的安全の文脈におけるアタッチメントの軽視(つまり、低数字のAタイプ分類)

その人のアタッチメント対象が (その人の子ども時代に) その人を守ったり、慰めたりできない時に、防衛的過程(自分の心を危険から守ろうとする働き)が使用されるかもしれない。もしその子どもが実際には安全で、アタッチメント対象からは部分的にしか慰めを与えられない場合、軽度の情動・認知の歪曲のみが予想される。さらに、慰めが与えられないのに続いて、子どもが示す不必要なアタッチメント行動 (たとえば、怒りや恐れや慰めへの欲求を表出すること) が拒絶された場合、否定的情動に対する単純な防衛が使用されることが多い。すると、親の良い性質と悪い性質が分割され、良い性質のみが認識され、否定的情動の表出は抑制される。これは「分離」の一例である。

成人愛着面接(AAI)では、A1-2の話し手は拒絶的な親を肯定的で理想化された形で描くこととなる。情動・認知の歪曲を維持するために、その人が子どものときに、安全であったが慰めてはもらえなかった例に関する記憶は無視される。それについて直接聞かれた場合でも、成人愛着面接の中で詳しく語られることはない。代わりに、慰めを求めても与えられなかったエピソードは触れられることなく、慰めがなかったことは些細なこととして軽視されるかもしれない。A1-2タイプと分類される話し手のインタビューからは情動表出はほとんど見られない。A1およびA2パターンが、深刻な生命を脅かすような身体的危機と関連していることはまれである。彼らにとっての危機とはそうではない。子ども時代、実際には安全な時にアタッチメント行動をアタッチメント対象によって拒絶されたという心理的苦痛が危機なのである。

A3-8タイプ : 危機の文脈における軽視 (つまり、高数字の、強迫的compulsive Aタイプ分類)

両親が危機の原因である場合、または危機からその人が子ども時代に守られない場合、そしてもし危機が予測可能かつ予防可能であるならば、その子どもは自分の安全を高めるために必要なことをするようになる。そのような場合、驚異はよく記憶され、その人が象徴するエピソードとして語られる。したがって、その人にとって理想化は不可能である。代わりに成人愛着面接ではAタイプの方略を用いる成人は彼らの両親のために両親を免責する。そして、両親の視点で自らのアタッチメントをめぐる欲求と感情に関して、現在の成人のもの・子どもの時のものも共に否認するのである。

多くの場合、何らかの強迫的様式が見られる。暴力が驚異である場合、強迫的従順が見られるかもしれない (A4)。無視が驚異である場合は強迫的世話が (A3)、親の危険な行動から子どもが身を守るには逃げるしかない場合は強迫的世話が (A6)、または見知らぬ人との親密さへの強迫的探究が見られるかもしれない (A5)。強迫的自立の子どもは自分を守るために危険な両親から距離を取るが、そうするために両親からの保護と自分自身の感情へアクセスすることをあきらめることになる。この距離を取るというA6の方略は、行きずりの関係における性的なものも含む無分別 (つまり、A5) を伴うことが多い。

A7・A8といった、二つの最も極端な方略は人生早期に始まり、その人が発達していく間、深刻な危機に晒され続けることから生じる。アタッチメント対象とある程度接触していた場合、成人は危険なアタッチメント対象を妄想的に理想化するかもしれない。否定的経験を否認し、それらを肯定的なものへと妄想的に変換すれば、子どもの頃の危機を思い出さずに済むのである (A7)。頼れるアタッチメント対象が誰もいなかった (あるいはアタッチメント対象が次々と変わった) 者は外部組織化自己 (A8) を発達させる。

これらの高数字の方略は心理的苦痛の増加と関連しており、(比較的安全な社会では) 健常群よりも、心理療法を受けている成人の成人愛着面接記録の中により多く観察される。

「概観」
・Aタイプ方略と関連する主要な心的過程は (a) 自己と他者と人間関係の肯定的特徴と否定的特徴を分割すること、そして (b) アタッチメント対象の否定的情動に用心深く注意を払いつつも、自身の心的処理や行動からは否定的情動を軽視することである。機能面から見ると、これには、 (a) 自己を自身の感情から遠ざけること、 (b) アタッチメント対象についての否定的結論を軽視すること、そして、 (c) 人間関係の否定的特徴を自分自身のせいにすること、が含まれる。「分割」の過程は、一部の情報についてはそれ以上処理を進めないようにしておく一方で、他の情報についてはさらに変換を進めていくことを伴う分離disassociative過程である。Aタイプ方略は、アタッチメント対象の否定的側面と自己の否定的情動に関する情報を処理から排除する。この情報が欠けていると、意味記憶的な情報が絶対的である (つまり、例外がない) ように見え、そして、それゆえに、その情報はアタッチメント対象の理想化もしくは免責という方向へと歪曲されるのである。否定的情動が表出されないと、経験について肯定的感情を持つことが可能になる。一連の方略の中では、主にアタッチメント対象の肯定的特徴を中心に組織化された方略 (奇数方略) と、主に自己の否定的特徴を中心に組織化された方略 (偶数方略、図2.2参照) とに二分されている。
・とりわけ重要なことは、どのAタイプの逐語記録の中にも、話し手自身の視点と真に否定的な感情 (たとえば、怒り、恐れ、慰めへの欲求) が欠けているということである。意識から感情が排除される方法は方略によって変わるが、排除はすべてのAタイプの逐語記録に共通して見られるものである (その他の感情や情緒、たとえば肯定的情動や恥やアタッチメント対象の感情、などは含まれるかもしれない)。
(引用 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)
「Aタイプ : 自己の軽視」
(A1-2タイプ : 身体的安全の文脈におけるアタッチメントの軽視(つまり、低数字のAタイプ分類))
・アタッチメント対象が子どもを守ったり、慰めたりできない時に、防衛的過程が使用されるかもしれない。もし子どもが実際には安全であり、しかしアタッチメント対象によって部分的にしか慰めを与えられない場合、軽度の歪曲のみが予想される (つまり、肯定的および否定的特徴の軽度の分離が幾らか見られる)。さらに、慰めが与えられないのに続いて、子どもが示す不必要なアタッチメント行動 (たとえば、怒りや恐れや慰めへの欲求を表出すること) が拒絶された場合、否定的情動に対する単純な防衛が使用されることが多い。この場合、親の良い性質と悪い性質が分割され、良い性質のみが認識され、否定的情動の表出は抑制される (つまり、分離される)。
・結果として、AAIではA1-2の話し手は拒絶的な親を肯定的で理想化された形で描くこととなる (逆にBタイプは両親の望ましい性質と不快な性質の両方に関して正確である)。歪曲を維持するために、子どもが安全であったが慰めてはもらえなかった例に関する記憶は無視され、それについて直接聞かれた場合でも、AAIの中で詳しく語られることはない。代わりに、慰めを求めても与えられなかったエピソードは切り捨てられ、慰めがなかったことは些細なこととして軽視されるかもしれない。A1-2タイプと分類される話し手のインタビューからは情動表出はほとんど見られない。A1およびA2パターンは深刻な生命を脅かすような身体的危機と関連していることはまれである。逆に、彼らにとっての危機とは、(子どもが実際には安全な時に) アタッチメント行動をアタッチメント対象によって拒絶されたという心理的苦痛なのである。
(引用 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)
(A3-8タイプ : 危機の文脈における軽視 (つまり、高数字の、強迫的compulsive Aタイプ分類) )
・両親が危機の原因である場合、または危機から子どもを守れない場合、そしてもし危機が予測可能かつ予防可能であるならば、子どもは自分の安全を高めるために必要なことをするようになる。
・そのような場合、驚異は一般によく記憶され、エピソードとして語られる。したがって、理想化は不可能である。代わりにAAIではAタイプの方略を用いる成人は彼らの両親のために言い分け (両親を免責) して、両親の視点を取り、自らのアタッチメントをめぐる欲求と感情に関して、子どもの時のものも共に否認するのである。多くの場合、何らかの強迫的様式が見られる。暴力が驚異である場合、強迫的従順が見られるかもしれない (A4)。無視が驚異である場合は強迫的世話が (A3)、親の危険な行動から子どもが身を守るには逃げるしかない場合は強迫的世話が (A6)、または見知らぬ人との親密さへの強迫的探究が見られるかもしれない (A5)。強迫的自立の子どもは自分を守るために危険な両親から距離を取るが、そうするために両親からの保護と自分自身の感情へアクセスすることをあきらめることになる。この距離を取るというA6の方略は、行きずりの関係における性的なものも含む無分別 (つまり、A5) を伴うことが多い。
・二つの最も極端な方略は人生早期に始まり、発達していく間、深刻な危機に晒され続けてきたことから生じる。アタッチメント対象とある程度接触していた場合、成人は危険なアタッチメント対象を妄想的に理想化するかもしれない。否定的経験を否認し、それらを肯定的なものへと妄想的に変換すれば、子どもの頃の危機を思い出さずに済むのである (A7)。頼れるアタッチメント対象が誰もいなかった (あるいはアタッチメント対象が次々と変わった) 者は外部組織化自己 (A8) を発達させる。
・高数字の方略は心理的苦痛の増加と関連しており、(比較的安全な社会では) 健常群よりも、心理療法を受けている成人の逐語記録の中により多く観察される。
(引用 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

情動と認知の特徴

情動

Aタイプの心を自己防衛するような方略(自己防衛方略)を使う人は否定的情動を表出することを抑制し、危機や安全に関するイメージがほとんどないか、もしくはイメージにはつながりやすい。彼らは非言語的な偽りの肯定的情動を用いることが多い。たとえば、不快な思いをした時のことを笑う。非言語的とは、この場合「笑う」に該当する。この笑いは、皮肉が含まれる偽りの肯定的情動なのである。

しかし、彼らは情動について意味記憶上(国語のテストのように模範解答的な感情の取り扱い)や名詞化された形式では話し合うことができる。

認知

このような話し手は、否定的情動を表出すると拒否されるという予期をしがちである。そのため、感情の根拠は抑制されがちである。これに対して、肯定的感情を表出することで報酬を与えられる場合、たとえ肯定的感情を感じていない時でも表出されるようになる。このようにして偽りの肯定的情動が作り出される。それゆえ、認知面ではAタイプは防衛的行動の導きとなる予測可能なルールを強調する。

時間に関しては、Aタイプの心を自己防衛するような方略(自己防衛方略)を用いる人は、時間は有限かつ不変であると概念化している。その結果、彼らは過去を変えることはできないということ (正確な信念) だけでなく、その関係は将来にも適用されるという、つまり因果関係は時間がたっても変わらないということ (誤った信念) も信じることになる。このことは、過去を再考することや将来変化することは無駄であるという信念に影響を与える。この不変性にうまく対処するための心理的方略は、できるかぎり過去のエピソードを再生することから距離を取って、安全な行動のためのガイドラインのみを将来へ持ち越していくことである。しかし、それらのガイドラインが導き出された文脈を再生することが放棄されると、ガイドラインが現在の文脈にとってどの点において不適切であるのかを見つけることがその個人にとって難しくなってしまう。つまり、エピソード記憶(他人から学んだことではなく、自身が経験したことの記憶)を排除することは情報源記憶を排除することでもあり、このために、その人が自分の意味記憶上の結論についての妥当性(その時あったことを、本当に役立つような理解をしているか)を評価する能力が減じてしまうことになる。さらに、たとえAタイプの自己防衛方略を用いる人が、取っている行動が正常に機能していないことに気づいたとしても、身に付けている手続き記憶的ルーチンをあまりにも自動的に使用してしまう。そのため、意識的な思考で適切な別の行動を生み出す前に、その方略を実行してしまうことが多い。このように、新しい反応を学習することと、自動的な手続きの代わりに、それを実行に移すことの両方が必要である。実行に移すことが最も難しい。

また、「責任」に関してAタイプ方略は、因果関係に関する時間的秩序と責任に関する因果関係を同一視する。つまり、年齢や能力にかかわらず、そのような話し手は自分の行動の後に生じた出来事に対して、自分に責任があると見なすことが多い。自分の行動の後に生じた出来事に対して、自分に責任があるということになる。もちろん、一連の出来事がどこから始まったのかを決めることは主観的な選択である。Aタイプの自己防衛方略を用いる話し手は、自身の行動から一連の出来事が始まったとすることが多い。このようにすることで、結果をコントロールできるという見かけを彼らの心の中に作り出すのである。特に自分自身の生命をコントロールすることが成人と比べて十分にできない子どもの場合で、両親が特別に脅威を与える存在であった時は、結果を自分でコントロールできるとする方が適応的であり得る。しかし成人期に同じようにすると、個人は恥という内的感覚を抱くだけでなく、他者から見ると「誇大」もしくは「傲慢」であるような見かけを作り出しもする。

「情動と認知」
・情動:Aタイプの自己防衛方略を使う話し手は否定的情動を表出することを抑制し、危機や安全に関するイメージがほとんどないか、もしくはイメージにはつながりやすい。彼らは非言語的な偽りの肯定的情動を用いることが多い (たとえば、不快な思いをした時のことを笑う)。しかし、彼らは情動について意味記憶上や名詞化された形式では話し合うことができる。
・認知:このような話し手は自分の行動を時間的予期を中心に組織化する。その予期の中には否定的情動を表出すると拒否されるという予期が含まれがちであるため、感情の根拠は抑制されがちである。これに対して、肯定的感情を表出することで報酬を与えられる場合、たとえ肯定的感情を感じていない時でも表出されるようになり、こうして偽りの肯定的情動が作り出される。それゆえ、認知面ではAタイプの話し手は防衛的行動の導きとなる予測可能なルールを強調する。
・時間に関しては、Aタイプの自己防衛方略を用いる話し手は、時間は有限かつ不変であると概念化している。その結果、彼らは過去を変えることはできないということ (正確な信念) だけでなく、その関係は将来にも適用される、つまり因果関係は時間がたっても変わらないということ (誤った信念) も信じることになる。このことは、過去を再考することや将来変化することは無駄であるという信念に影響を与える。この不変性にうまく対処するための心理的方略は、できるかぎり過去の再生から距離を取って、安全な行動のためのガイドラインのみを保持して、将来へ持ち越していくことである。しかし、それらのガイドラインが導き出された文脈を再生することが放棄されると、ガイドラインが現在の文脈にとってどの点において不適切であるのかを見つけることがその個人にとって難しくなってしまう。別の言い方をすると、エピソード記憶を排除することは情報源記憶を排除することでもあり、このために、話し手が自分の意味記憶上の結論についての妥当性を評価する能力が減じてしまうことになる。さらに、たとえAタイプの自己防衛方略を用いる話し手が、自分たちの行動が正常に機能していないことに気づいたとしても、彼らが身に付けている手続き記憶的ルーチンをあまりにも自動的に使用するため、意識的な思考がより適切な別の行動を生み出すことができる前に、その方略が実行に移されてしまうことが多い。このように、新しい反応を学習することと、自動的な手続きの代わりに、それを実行に移すことの両方が必要である。最も難しいのは後者の方である。
・さらに責任に関しては、Aタイプ方略を用いる話し手は、因果関係に関する時間的秩序と責任に関する因果関係とを同一視する。したがって、年齢や相対的な能力にかかわらず、そのような話し手は自分の行動の後に生じた出来事に対して、自分に責任があると見なすことが多い。その話し手は自分の行動の後に生じた出来事に対して、自分に責任があるということになり得る。もちろん、一連の出来事がどこから始まったのかを決めることは主観的な選択である。Aタイプの自己防衛方略を用いる話し手は、自身の行動から一連の出来事が始まったとすることが多い。このようにすることで、結果をコントロールできるという見かけを彼らの心の中に作り出すのである。特に自分自身の生命をコントロールすることが成人よりも十分にできない子どもの場合、両親が特別に脅威を与える存在である時には、この方が適応的であり得る。しかし、成人期にそのようにすると、個人は恥という内的感覚を抱くだけでなく、同時に他者から見ると「誇大」もしくは傲慢であるような見かけを作り出しもするのである。
(引用 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

経歴/生育歴

Aタイプの心を自己防衛するような方略(自己防衛方略)を用いる話し手の親はたいてい、子どものアタッチメント行動を拒絶していたか、もしくはアタッチメントを形成している子どもを拒絶していた。その拒絶には、子どもが実際に安全な時 (たとえば、夜にベッドにいて実際には安全であるけれども怖くなった時に泣くのをこらえている時など)、 もしくはほんの少し我慢をしただけの時 (たとえば、親が包帯を怪我した部分に巻きに来てくれた後など) にアタッチメント行動を拒絶することから、子供を危険にさらすようなやり方で拒絶すること (たとえば、身体的虐待やネグレクトなど) までの幅がある。前者の例で子どもは保護されているが、慰めは拒絶されている。後者の例では保護も慰めもないまま、実際の危険が伴っている。子どもは拒絶されることが予測可能となり、子どもは拒絶されることを防ぐために自己防衛方略を組織化した。慰めてもらえない場合、その親自身もたいていはAタイプ方略を使っていたのに対して、成人愛着面接においてA3-6タイプの話し手の場合、その親はC+タイプの方略を使うことが多かった。A7-8タイプでは、話し手には複数の危険な養育者がいた場合が多かった。

「経験/生育歴」
・Aタイプの自己防衛方略を用いる話し手の親はたいてい、子どものアタッチメント行動を拒絶していた (A1-2 タイプの場合) か、もしくはアタッチメントを形成している子どもを拒絶していた (A3+ の場合)。その拒絶には、子どもが実際に安全な時 (たとえば、夜にベッドにいて実際には安全であるけれども怖くなった時に泣くのをこらえている時など)、 もしくはほんの少し我慢をしただけの時 (たとえば、親が包帯を怪我した部分に巻きに来てくれた後など) にアタッチメント行動を拒絶することから、子供を危険にさらすようなやり方で拒絶すること (たとえば、身体的虐待やネグレクトなど) までの幅がある。前者の例では保護はされているが、慰めは拒絶されている。後者の例では保護も慰めもないまま、実際に危険が伴っている。拒絶されることが予測可能であったので、子どもは拒絶されることを防ぐために自己防衛方略を組織化することができた。慰めてもらえない場合、その親自身もたいていはAタイプ方略を使っていたのに対して、A3-6タイプの話し手の場合、その親はC+タイプの方略を使うことが多かった(Crittenden et al., 1991; Hautamaki et al., 2010; Shah et al., 2010を参照)。A7-8タイプでは、話し手には複数の危険な養育者がいた場合が多かった。
(引用 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

安定した愛着を抱けず抱える「愛着障害」

産みの母との関わりを筆頭に、父、育ての母、祖父母など、さまざまな他人との関わりが愛着やその後の行動様式を形作っていくことになる。社会で生きるとは人付き合いの連続であり、その原点となるのが彼らである。彼らとの付き合いによって、相手に助けを求めることや、その結果をどれだけ期待するかといった愛着スタイルが形造られる。愛着スタイルは人付き合いだけでなく、その人の生き方にも大きな影響を与えている。

安定した愛着を抱けずに、対人関係や人生に課題や困難を抱える状態を「愛着障害」という。愛着障害を抱えていると、対人関係や人生に課題や困難を抱えやすい。この「愛着障害」と「愛着スペクトラム障害」は同義である。「愛着スペクトラム障害」は岡田 尊司 氏が提唱しているものである。愛着スペクトラム障害のスペクトラムとは、症状が曖昧な境界を持ちながら連続していることを意味する。症状の度合いは様々であり、「どの程度なら愛着障害だ」と認定することは困難なのである。よって様々な度合いの症状をまとめて愛着スペクトラム障害としている。

愛着の課題を解決するには「安全基地」が必要

今まで述べてきたように、情動・認知が傾いた愛着タイプを抱えていると人間関係や生き方に症状といえるような課題を抱えやすい。人生をもっと生きやすく実り豊かなものしたい、今抱えているさまざまな問題を良い方向に解決していきたい、もっと幸福な人生を手に入れたい。このような愛着スタイルによる症状を回復しようと思うときには、「愛着の傷をいかに克服し、安定した愛着タイプをもつ(獲得する)ことができるか。また、不安定な部分をいかに補えるか」が重要になる。

そのためには、その人の安全基地となる存在が助けになる。安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。対人関係において、その人が安心できる人のことである。幼児が不安になったときに、「ママ・パパ」と駆け寄るような相手である。幼児はそのように安全基地を頼り安心することで、また活発に行動できるのである。安全基地とは自分という存在が無条件に受け入れられる場所なのである。自分が何を感じ、何を思っているか、安心して話すことができる相手が安全基地になりえる。そのように自分が受け入れられると、自分の人生に対する主体性や責任を得ることができる。自分が大切にされることで、自分を大切にできるようになるのである。

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