誰にでも安全基地がある社会に
愛着こうは「愛着」の専門サイトです。
基礎知識

【初心者向け】一から愛着障害について理解する!!|愛着とは何なのか? 愛着や愛着障害、それが人や社会に及ぼす影響は?

当ウェブサイトが行う、愛着についての医療・福祉・教育情報提供に関するコメントです。

「愛着障害」とは何だろうか? 「愛着」とは何だろうか? この記事では、愛着について、愛着障害について、初めて学ぶ方でも理解できるように説明しております。また、愛着障害が人や社会に及ぼす影響も説明しております。

「愛着」や「愛着スタイル・タイプ」とは

愛着障害の「愛着」とは特定の人に対する特別な結びつきのことだ。また、人格のもっとも土台の部分を形造っているものである。脳内のホルモン作用がかかわる生理学的な仕組みである。その型として「愛着スタイル・愛着タイプ」というものがある。それは対人関係の在り方に大きな影響を与えるものである。また愛着スタイル・タイプは人付き合いだけでなく、その人の生き方にも大きな影響を与えている。愛着スタイル・愛着タイプについて、以下の記事で詳しく解説している。

あわせて読みたい
「愛着スタイル」とは?| 人間関係や生き方に大きな影響を与える※当ウェブサイトが行う、愛着についての医療・福祉・教育情報提供に関するコメントです。 愛着スタイルというものがある。人付き合いで悩みを...
あわせて読みたい
「愛着タイプ」とは?|人間関係や生き方に大きな影響を与える※当ウェブサイトが行う、愛着についての医療・福祉・教育情報提供に関するコメントです。 「愛着タイプ」というものがある。人付き合いで悩み...

不安定型愛着により支障を来している状態とは

不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプなど、愛着スタイル・タイプにより人付き合いや人生に課題を抱えている状態である。人付き合いで悩みをかかえていないだろうか。周囲の人に適度な信頼を持てない。いたずらに不安を感じてしまう。そもそも他人への信頼に興味がない。そのような思いを抱いていないだろうか。あげるときりがないが、多くの人間関係の悩みに、不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプが関わっている。これらは人付き合いの型と言えるものだからだ。

「愛着障害」とは?

「愛着障害」を抱えていると、対人関係や人生に課題や困難を抱えやすい。この「愛着障害」と「愛着スペクトラム障害」は同義である。愛着スペクトラム障害とは岡田 尊司 氏が提唱するものだ。愛着障害には虐待や親の養育放棄による「反応性愛着障害」がある。岡田氏はそれを狭義の愛着障害としている。そして不安定型愛着(スタイル)により支障を来している状態を、狭義の愛着障害を合わせて、広義の愛着障害としている。愛着スペクトラム障害のスペクトラムとは、症状が曖昧な境界を持ちながら連続していることを意味する。また不安定型愛着とは、偏向型愛着(タイプ)と近い概念である。どちらも愛着理論をもとにした概念である。不安定型愛着は愛着理論-ABCDモデル、偏向型愛着は愛着理論-DMモデルのものである。よって愛着こう 平田は、偏向型愛着タイプを加えたものを広義の愛着障害としている。

・愛着障害と愛着スペクトラム障害が同義。

・愛着スペクトラム障害のスペクトラムとは、症状が曖昧な境界を持ちながら連続していることを意味する。

・狭義の愛着障害が反応性愛着障害を指す。

・広義の愛着障害は、狭義のものと、不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプにより支障を来している状態を指す。

・こうした不安定型愛着に伴って支障を来している状態を、狭い意味での愛着障害、つまり虐待や親の養育放棄による「反応性愛着障害」と区別して、本書では単に「愛着障害」と記すことにしたい。このような広い意味での「愛着障害」は、筆者が既に提起した「愛着スペクトラム障害」と同義である。
・不安定型愛着も含めた広義の愛着障害、つまり愛着スペクトラム障害には回避型と不安型のような正反対とも言える傾向をもったタイプがふくまれるが、その根底には、大きな共通点がある。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

症状|対人関係や生きる意欲へ悪影響が及ぶ

愛着障害を抱えていると、対人関係や人生に課題や困難を抱えやすい。

対人関係への影響

周囲の人に適度な信頼を持てない。いたずらに不安を感じてしまう。そもそも他人への信頼に興味が持てない。このような人間関係の悩みには、愛着障害が関わっていることが多い。
愛着障害は、不安定型愛着スタイルを原因とする。不安定型愛着スタイルは対人関係に問題をつくるきっかけになりやすい。例えば、回避型と呼ばれる愛着スタイルを抱えていると、パートナー(妻や夫、恋人など)の感情に共感することが難しくなることがある。不安型の愛着スタイルを抱えていると、パートナーに対する要求が社会一般のものより過大になりやすい。過剰に好意の承認を求めたり、過剰なコミュニケーション頻度の要求などだ。不安定型愛着スタイルは対人関係に問題をつくるきっかけになりやすい。幼いころに安定した愛着を築けず、他人への不信感を抱えることが建設的な人間関係を築きにくくしている。他人を信じることができず、人間関係を避けるか、人を求めても多くの不安を抱えるかにわかれる。前者が回避型愛着スタイル、後者が不安型愛着スタイルである。

人生との向き合い方への影響

また愛着スタイルの影響は対人関係のみに収まらない。人付き合いの型である愛着スタイルは、生き方にも大きな影響を与える。
例えば、回避型の愛着スタイルを抱えていると、自分の人生に対する積極的な行動をとることが難しくなる。自分の人生であるのに、どこか流れされるような生き方に終始しやすい。彼らは自分を大切にすることを身に着けられていないことが多い。愛着スタイルが確立される段階で自分が大切にされていないと感じるためである。すると、人生に対する無気力さや無関心さ、投げやりさを覚えやすい。悩みがある状態ときに仕事のやる気が出にくいことを想像していただければわかりやすい。

愛着障害の詳細を以下の記事で詳しく説明している。

あわせて読みたい
「愛着障害」とは?| その特性や克服の仕方は? 克服には安全基地が重要※当ウェブサイトが行う、愛着についての医療・福祉・教育情報提供に関するコメントです。 「愛着障害」をご存知ですか? 愛着障害は、不安定...

罹患|「安全基地」の不全が原因

安全基地とはいざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。そして、外の世界を探索するためのベースキャンプでもある。トラブルや危険が生じたときには、逃げ帰ってきて、助けを求めることができる。しかし、いつもそこに縛られる必要はない。良い安全基地とは、本人自身の主体性が尊重され、彼らの必要や求めに応える人のことをいう。
その安全基地が持てないことが、愛着障害の原因である。愛着の原点は親との関係であり、そのプロセスに躓くことで、不安定型愛着を身に着ける。

安全基地があることで愛着を安定できる

広義の愛着障害に入るような、不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプを抱えていると人間関係や生き方に症状といえるような課題を抱えやすい。人生をもっと生きやすく実り豊かなものしたい、今抱えているさまざまな問題を良い方向に解決していきたい、もっと幸福な人生を手に入れたい。このような愛着スタイル ・愛着タイプ による症状を回復しようと思うときには、「愛着の傷をいかに克服し、安定した愛着スタイル ・愛着タイプ をもつことができるか。また、不安定な部分をいかに補えるか」が重要になる。

そのためには、その人の安全基地となる存在が助けになる。安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。対人関係において、その人が安心できる人のことである。幼児が不安になったときに、「ママ・パパ」と駆け寄るような相手である。幼児はそのように安全基地を頼り安心することで、また活発に行動できるのである。安全基地とは自分という存在が無条件に受け入れられる場所なのである。自分が何を感じ、何を思っているか、安心して話すことができる相手が安全基地になりえる。そのように自分が受け入れられると、自分の人生に対する主体性や責任を得ることができる。自分が大切にされることで、自分を大切にできるようになるのである。

・新たな認識と自覚を踏まえたうえで、どうすれば人生がもっと生きやすく実り豊かなものになるのか、どうすれば今抱えているさまざまな問題を良い方向に解決していけるのか、どうすればもっと幸福な人生に近づいていくことができるか。その問題を、もっとも根本的なところで左右するのが、愛着の傷をいかに克服し、安定した愛着スタイルをもつことができるか、不安定な部分をいかに補えるかなのである。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
・安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。
・無気力で、投げやりになっている状態。それは、主体性を奪われた結果、自分に対する責任を放棄している状態である。回避型の人が自分の人生から逃げているときも、同じことが起きている。その場合、主体性と責任を回復させることが、無気力で投げやりな状態から脱することを可能にする。(段落変え)そして、主体性と責任を取り戻させるために、もっとも有効な道が、その人の安全基地となることなのである。安全基地として機能し始めると、しだいに気持ちや意思を話せるようになる。
(引用 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

愛着の安定化から再認知がすすむ

また、愛着の安定性には、「認知」が深く関わっている。体験することをどう認知するかが愛着の安定性にとって大事なのである。不安定型愛着スタイル ・偏向型愛着タイプ を抱えていると、事態を悲観的に認知しやすい傾向がみられる。では、「認知を悲観的なものから変えることによって、愛着が安定化するか」というと、そうはなりにくい。愛着が安定化した後で認知が変わることが、大多数を占めている。

安定した愛着の人は、体験したことにしっかり向き合う。その向き合い方も客観的であり、前向きなものになりやすい。心情的な過剰反応をするのではなく、事実を客観的に受け止めることで、事態に冷静に対処することができる。

大人の安全基地のつくりかたの特徴

頼ったときに安心感を与えてくれる人を見つけると、安全基地を得たといえる。自分の気持ちに共感的に応答してくれることが安全基地の重要な要素である。しかし、安全基地を持たずに大人になったといえる人ほど、安全基地をつくることが難しいといえるだろう。安全基地を持たずに生きるには、自分の気持ちに共感的な応答をしてもらうことを、捨てる必要があるからである。安全基地になるはずだった人に一種の絶望をもったため、安全基地をあきらめたといえる。安全基地をもう一度つくることは、絶望してあきらめたことにもう一度挑戦することなのだ。

・安全基地とは、安心感を回復させてくれる存在である。ひと言で言えば、どんなときであれ、「大丈夫だよ」と言ってくれる存在である。(段落変え)その基本的なスタンスは、共感的な応答である。相手が求めたときに、相手の気持ちに立って応えるということである。
(引用 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

安全基地の効果

安全基地をつくることで、他者への共感が生まれる。安全基地の人に安心感を与えられる、自分の気持ちに共感的な反応をしてもらったりすることで、他人の気持ちに共感的な反応をすることを知ることができる。今まで安全基地を持たなかった人にとって、他者への共感を心からすることができるようになる。今まで理性でしていた共感を、心でできるようになる。

・つまり、他者への共感が生まれるのは、その人自身に共感や支えがたっぷり与えられ、その人自身の安全感が十分に回復した後なのである。その人自身に共感や支えがたっぷり与えられ、その人自身の安全感が十分に回復した後なのである。その人自身が大丈夫だと感じたとき、はじめて他者に対する思いやりをもてるようになる。
(引用 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

不安定型愛着は増加し、三分の一もの人が抱えている

「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版」によると、不安定型愛着を示す人口は全体の「三分の一」にも達するようだ(*1)。

愛着障害はスペクトラム障害であり、程度に差はあれ、愛着障害を抱える人は身近にも多く存在することになる。

・カップルのどちらかが不安定型愛着を抱える確率→50%以上

・三人のうち、一人でも不安定型愛着を抱えている可能性→七割

「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版」の著者は、この現状について、書籍内でこのように述べている。

引用 : ”片目を眼帯で覆って車を運転するようなものだと言えるだろう。”

・安定型の愛着を示すのは、およそ三分の二で、残りの三分の一もの子どもが不安定型愛着を示すのである。
・さらに成人でも、三分の一くらいの人が不安定型の愛着スタイルをもち、対人関係において困難を感じやすかったり、不安やうつなどの精神的な問題を抱えやすくなる。
・ご自身が、不安定型愛着を抱えているかもしれないし、恋人や配偶者や同僚がそうであるかもしれない。カップルのどちらかが不安定型愛着を抱える確率は、何と五〇パーセントを超えるのだ! さらに、三人の人がいて、そのうち一人でも不安定型愛着を抱えている可能性は、七割にも達する! 不安定型愛着がどういうものか知らずに世渡りすることは、片目を眼帯で覆って車を運転するようなものだと言えるだろう。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版 ※2011年発行の書籍)

(*1)2011年発行の書籍、調査の詳細は本文に未記載。著者に対するこの記事執筆者の信頼性から引用することにした。

愛着不安と愛着回避の増加が、愛着障害の発症を増やしている

不安定型愛着が愛着障害の原因である。不安定型愛着の多くの原因は、愛着不安の強いことと、愛着回避の強いことである。愛着不安とは愛着関係を持つことに不安を覚えること。愛着回避とは愛着関係を回避しようとすることをいう。愛着不安が強いタイプの増加で、境界性パーソナリティ障害や、依存症や過食症が増加している。愛着回避が強いタイプの増加で、淡白な対人関係を好む「草食系男子」や結婚になかなか踏み切れない人が増加している。

愛着不安や愛着回避が増える大きな要因は、社会が数十年間にわたり、愛着を軽視し損なう方向に変化してことである。遺伝的要因の関与は小さく、短期間に変化するものでもない。よって原因は、先に述べた環境的要因一番が大きいのである。

・大人にひそむ愛着障害の増加を間接的に示しているのは、たとえば、境界性パーソナリティ障害の増加であるし、依存症や過食症の増加である。これらは、愛着不安の強いタイプの愛着障害が増えていることを示唆していると考えられる。(段落変え)その一方で、淡白な対人関係を好む「草食系男子」や結婚になかなか踏み切れない人の増加は、愛着回避の傾向を示す愛着障害が、若い世代に広がっていることを示している。
・遺伝的要因の関与はそもそも小さいうえに、短期間に変化する問題でもないから、当然その原因は、環境的なところに求められるが、その答えは、これまで述べてきたことから明らかだろう。この数十年、社会環境が、愛着を守るよりも、それを軽視し、損なう方向に変化してきたということに尽きるのである。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

「相互扶助」が社会から愛着障害を減らすことになる

・誰もが他人から愛着への影響を受け、他人の愛着へ影響を与えている。
・愛着障害はスペクトラム障害である。
・誰もが愛着障害になりえる。
この3点から、「社会の構成員が相互扶助で愛着障害と向き合う」ことが必要だと考える。

当サイトについて

愛着タイプ・愛着スタイルが対人関係に与える影響、生き方に与える影響は多岐にわたる。当サイトでは、これらの影響を含め、愛着の情報を多く発信しています。愛着障害の専門サイトです。

以下のカテゴリーにて、愛着理論の基礎知識をご確認いただけます。関連記事をさらにご覧いただけます。愛着障害を皆様にご理解いただけるような説明を心がけております。ぜひご覧ください。