基礎知識

自信を持って幸せだと言えない人へ|「3つの安全基地が充実した社会」が解決する

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不安や不満があり、自信を持って幸せだと言えないこともあるだろう。その不安や不満が「安全基地がないこと」であって欲しくない。

この記事では安全基地とは何か、安全基地を持てていない人が多い現実、安全基地が人の幸せに影響すること。そして、多くの人が安全基地を持つには何が必要か、より多くの人が安全基地を持てるようにするための手段をご紹介する。

「安全基地」とは?

安全基地とは愛着理論の用語である。愛着理論は、

愛着理論は、「すべての人は生まれながらにして、親密さと安心を得ようとする欲求を持っており、自分を守ってくれると感じられる人からそれを得ようとする」という前提のもとに展開される理論である。
(引用 : 『セキュアベース・リーダーシップ』著者:ジョージ・コーリーザー、スーザン・ゴールズワージー、ダンカン・クーム 訳者:東方 邪美 プレジデント社 初版)

というものである。その「自分を守ってくれる人」が安全基地である。

「安全基地」は、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在なのである。

これがなければ、生きる上で安心感を得ることが難しく、様々な困難を抱えやすくなる。

(参考 : 『セキュアベース・リーダーシップ』著者:ジョージ・コーリーザー、スーザン・ゴールズワージー、ダンカン・クーム 訳者:東方 邪美 プレジデント社 初版)
(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

「愛着」や「愛着スタイル」とは

愛着理論の「愛着」とは特定の人に対する特別な結びつきのことだ。また、人格のもっとも土台の部分を形造っているものである。脳内のホルモン作用がかかわる生理学的な仕組みである。その型として愛着スタイルというものがある。この愛着の型は、対人関係や生き方に課題・困難さをもたらす。愛着の型の一種である「愛着スタイル」について、以下の記事で詳しく解説している。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 : 『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

不安定な愛着がもたらすもの

不安定な愛着は様々な悩みをもたらす。「HARMの法則」の全てに影響をもたらす。HARMの法則は「人間の悩みのほとんどはHealth(健康)・Ambition(キャリア)・Relationship(人間関係)・Money(お金)に分類できる。」というものだ。以下、参考文献からHARMの法則に沿って症状のまとめである。

「Ambition(キャリア」 →人間関係の問題を職場に持ち込んでしまう(愛着不安が根本)。人生の課題からどうしても逃げてしまう(愛着回避が根本)。
「Relationship(人間関係)」 →密接になる対人関係に不安を持ちやすく、その不安が行動に出ることで対人関係が悪化する傾向がみられる。パートナーが自分をどう評価するかによって、自分自身に対する評価まで変化しやすいという特徴がある。(愛着不安が根本)。 人付き合いを避ける傾向にあり、自分の未来や将来に対する責任を避けがちになる傾向がみられる。恋人やパートナーから助けを求められることが苦手であり、助けに応えるという反応も見られにくい。(愛着回避が根本)。
また、
「Health(健康)」 →他のA・R・Mがもたらすストレスによる身体的不調。
「Money(お金)」 →他のA・R・Hがもたらすストレスや葛藤を解消するため、過剰消費をもたらす。

不安定な愛着が対人関係に課題や困難さをもたらす

回避が強い愛着を抱えていると、パートナー(妻や夫、恋人など)の感情に共感することが難しくなることがある。不安が強い愛着を抱えていると、パートナーに対する要求が社会一般のものより過大になりやすい。過剰に好意の承認を求めたり、過剰なコミュニケーション頻度の要求などだ。このように、不安定な愛着は対人関係に問題をつくるきっかけになりやすい。幼いころに安定した愛着を築けず、他人への不信感を抱えることが建設的な人間関係を築きにくくしている。他人を信じることができず、人間関係を避けるか、人を求めても多くの不安を抱えるかにわかれる。愛着スタイルでいうと、前者が回避型愛着スタイル、後者が不安型愛着スタイルである。

(参考 :『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

不安定な愛着は生き方にも課題や困難さをもたらす

また不安定な愛着の影響は対人関係のみに収まらない。不安定な愛着は、生き方にも課題や困難さをもたらす。 例えば、回避が強い愛着を抱えていると、自分の人生に対する積極的な行動をとることが難しくなる。自分の人生であるのに、どこか流れされるような生き方に終始しやすい。彼らは自分を大切にすることを身に着けられていないことが多い。愛着が確立されたものになる段階で自分が大切にされていないと感じるためである。すると、人生に対する無気力さや無関心さ、投げやりさを覚えやすい。悩みがある状態ときに仕事のやる気が出にくいことを想像していただければわかりやすい。

不安が強い愛着では、誰か頼る相手がいることが助けになることもある。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

安全基地を持てていなのはあなただけではない

不安定型愛着は増加し、三分の一もの人が抱えている

「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版」によると、不安定型愛着を示す人口は全体の「三分の一」にも達するようだ(*1)。

愛着障害はスペクトラム障害であり、程度に差はあれ、愛着障害を抱える人は身近にも多く存在することになる。

・カップルのどちらかが不安定型愛着を抱える確率→50%以上

・三人のうち、一人でも不安定型愛着を抱えている可能性→七割

「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版」の著者は、この現状について、書籍内でこのように述べている。

引用 : ”片目を眼帯で覆って車を運転するようなものだと言えるだろう。”

・安定型の愛着を示すのは、およそ三分の二で、残りの三分の一もの子どもが不安定型愛着を示すのである。
・さらに成人でも、三分の一くらいの人が不安定型の愛着スタイルをもち、対人関係において困難を感じやすかったり、不安やうつなどの精神的な問題を抱えやすくなる。
・ご自身が、不安定型愛着を抱えているかもしれないし、恋人や配偶者や同僚がそうであるかもしれない。カップルのどちらかが不安定型愛着を抱える確率は、何と五〇パーセントを超えるのだ! さらに、三人の人がいて、そのうち一人でも不安定型愛着を抱えている可能性は、七割にも達する!
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版 ※2011年発行の書籍)

(*1)2011年発行の書籍、調査の詳細は本文に未記載。著者に対するこの記事執筆者の信頼性から引用することにした。

なぜ安全基地を持てないのか?

安全基地を持てないものは安全基地を他人に提供できないからだ。その連鎖が起こっている。ただし、

Ⅶ. 総括と今後に残された課題
確かに、実際に自らが過去に経験した被養育経験が、世代を超えて現在の自分の子に対する養育を規定する確率は相対的に高いと言えるかも知れない。しかし、それはあくまで確率が高いと言うことであり、決して必然的なものではないことを銘記しておく必要がある。愛着に関する内的作業モデルは、単なる過去の被養育経験の写しではない。…(省略)…Bowlbyによれば、そうした状況は、個人が自分の周りに”自ら”作り上げたものでもある。つまり、一旦早期に非組織的で不安定なモデルを形成してしまうと、それに従って外界を認知し、そして外界に働きかけることによって、自ら予測する状況を、それがたとえ自らに不利なものであっても、現に招来してしまう傾向が人間にはある程度備わっているということである。…
(引用 : 『内的作業モデルと愛着の世代間伝達』遠藤利彦 東京大学教育学部紀要)

以上のように限界も主張されている。更なる研究が待たれる。

多くの人が安全基地を持つには何が必要か?

ビジネスの現場で安全基地をひろめることだ。

現在安全基地を持てない人が多いのは、安全基地になれる人が少ないからだ。ビジネスの場で必要に迫られて安全基地となる技術を身につけることで、プライベートでも身の回りの人の安全基地になることができる。

個人の幸せのためになぜ安全基地がなければならないのか?

個人の幸せと安全基地の確かな関係について、現在研究が進められている。

・この節では、二者関係が個人の精神的健康や幸福度に与える影響を説明する代表的な理論として、ソシオメーター理論(sociometer theory)と成人の愛着理論(adult attachment theory)を取り上げる。ソシオメーター理論があらゆる社会集団を射程としているのに対して、成人の愛着理論は特定の他者との親密な関係に焦点を当てている。こうした相違はあるものの、二つの理論は、所属欲求(need to belong)(trait self-esteem)や愛着スタイル(attachment style)が、二者関係の質、さらには精神的健康や幸福度を規定するという個人レベルの影響プロセスに限定してレビューを行う。
(引用 : 『精神的健康・幸福度をめぐる新たな二者関係理論とその実証方法』 (浜松医科大学)・五十嵐祐(名古屋大学) 日本心理学研究 ※展望論文)

のように主張もされている。よって、人々に不幸をもたらす合成の誤謬解消のため、人的安全基地・組織的安全基地・経済的安全基地の「3つの安全基地」を主張する。

多くの人が安全基地を持つための「3つの安全基地」

今まで見てきた心理学に属するとされる安全基地は多くの人が持てていない。そこで、「3つの安全基地」を提案する。

人的安全基地

「人的安全基地」は、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。

組織的安全基地

職場に安全基地がないと、生産性の低下、働く人材の健康阻害が発生する。職場を想定している組織的安全基地の担い方は、個人が個人の安全基地となれる文化を持った組織であり、そのための制度が整えられている組織である。

経済的安全基地

「この社会で生きていける」と思えるための最低限の経済的状況が保たれていることが人の幸せにとって大きなファクターを占めていると考えている。例えば「私一人分の経済的安全基地しかない」だったり、「長期的な夫婦と子ども達分の経済的安全基地がある」と。このような経済面で安全基地のようなものがないと、人口の再生産率を下げる。

以上を持って、経済的安全基地の担い方は、人のフローとストックを充実させることとしている。

「3つの安全基地」となるコツは?

また、各々が安全基地となるには「安心感を与えてあげ、リスクへの挑戦を促す」ことが一番大事なのだ。

安全基地は安心感を与え、リスクへの挑戦を後押しする存在。どうやったらできるか考えること。

各々が果たす3つの安全基地は?

「3つの安全基地」には人的安全基地・組織的安全基地・経済的安全基地の3つがある。また、社会に属するものを個人・企業・政府(行政)の3つに分けて考える。その時、各々が果たす安全基地は以下だ。

「個人」
→人的安全基地
「企業」
→組織的安全基地・経済的安全基地
「政府(行政)」
→組織的安全基地・経済的安全基地

なぜこの「3つの安全基地」を提案するのか?

多くの人が安全基地を持つためだ。

安全基地が周りにない人が多い。安全基地がない人の連鎖を止めるため、どんな形でも安全基地に相当するものを多くの人に用意することができるのが「3つの安全基地」だ。

また、昨今、安全基地や心理的安全性、マインドフルネスなどが流行している。それぞれ違うものだが、本質にあるのは一緒のオキシトシンシステムを由来とした「安心」だろう。これらの「安心」を提供するものたちをマーケティングのイノベーター理論で考えると「イノベーターやアーリーアダプター」が採用し始めとるところだろう。「イノベーターやアーリーアダプター」の次の集団である大多数の人、「マジョリティー」に広めるには、今までとは違うマーケティング方法を取るべきだとされている。そこで当文章では、多くの人が安全基地を提供する動機や振る舞いが学びやすい仕組みである「3つの安全基地」を提案している。

実際に「3つの安全基地が充実した社会」にするには?

「認知の拡大」、「社会的合意形成」、「実現」の要素がある。

安全基地の認知を拡大

「3つの安全基地」が全ての「人」に関わることだと知ってもらう。3つの安全基地は、人的安全基地・組織的安全基地・経済的安全基地である。身近な人的安全基地だけでは安全基地を持てなくても、残りの2つの安全基地がある。

3つの安全基地が提供されるよう、「誰が誰のために3つの内のどの安全基地を提供すべきなのか?」、「自分には3つの安全基地が提供されているか?」という視点を広めるべきだ。

「キーワード」は

・対人関係で安心感を得ることができる人が周りにおり、
・職場などの組織も対人関係環境の構築に配慮があり、
・経済的にも「まあ大丈夫やろう」と思える現状や制度があったほうがいいよね。

だ。

社会的合意形成の鍵

「個人に安全基地があることが、(企業などの)組織とって利益、政府(行政)にとって社会の維持につながる」ことが鍵だ。

政府(行政)

・人口減少を緩やかにすることと、生産性の向上による経済規模の維持・拡大による福祉・国債の維持可能性拡大。

企業などの組織

・生産性の向上。
→情報の流通可能性の向上。従業員の健康リスクの低減。心理的な働きやすさ、またそれが制度上の働きやすさももたらすだろう。

個人

・安全基地と幸せ。参考となる論文について「なぜ安全基地がなければならないのか?」の項で説明している。

「3つの安全基地が充実している社会」を実際に実現するには?

実際に実現するには、安全基地となる人に安全基地のお手本を示すことだ。文字情報や動画など、様々な形態で見本を示すことが必要だ。

個人への見本

・「子や家族、友人などの安全基地となるには?」を示す。

企業への見本

・書籍の「『セキュアベース・リーダーシップ』著者:ジョージ・コーリーザー、スーザン・ゴールズワージー、ダンカン・クーム 訳者:東方 邪美 プレジデント社」が見本の一つ。プライベートの件も含め働く人の心を思いやり大切にし、同時に働く人の挑戦を促し企業も利益を被る「安全基地(せキュアベース)」について解説している。
・「職場における安全基地の振る舞い方」の例を示す。

また、政府(行政)は決めることは決めること

「3つの安全基地」が社会に浸透させるため、決めることは決めるべきだ。例えば、税制等を通じて企業が組織的安全基地を提供できるように仕組みをつくることだ。

記事を読んでくれている方へ

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