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「愛着パターン」は、主に子どもの愛着の型をいう。愛着スタイルと同じように数種類に分類される。各愛着パターンの特徴も紹介する。
「愛着パターン」は、子どもの「愛着行動」から導き出す
愛着の絆で結ばれた存在を求め、そのそばにいようとする行動を「愛着行動」という。「ママ」と呼びながらべそをかくこと、アニメのマルコ少年の大旅行も、共に愛着行動だと言える。
愛着が安全基地としてうまく機能しているかや、ストレスに対してどういう愛着行動を示すか、このような愛着に影響するいくつかの要素によって、子どもの愛着のパターンが導き出される。その愛着パターンは、四つに分類できる。
「愛着パターン」は「愛着スタイル」に変化していく
幼いころの愛着スタイルは、まだ完全に確立したものではない。相手によって愛着パターンが異なることも多い。養育者が変わったり、養育者が子どもへの接し方を変えたりすることでも変化する。そのため、このような子どもの愛着の傾向は、「愛着スタイル」とは呼ばずに「愛着パターン」と呼んで区別される。
子どもにおいて調べることができる愛着パターンは、特定の養育者との間のパターンに過ぎず、まだ固定化したものではない。母親とは不安定な愛着パターンを示す子どもでも、父親とは安定した愛着パターンを示すということもある。もちろん、その逆の場合も多い。祖父母と安定した愛着がみられる場合もあれば、まったくみられない場合もある。
なぜ「愛着」が大事か?
人付き合いで悩みをかかえる。周囲の人に適度な信頼を持てない。いたずらに不安を感じてしまう。そもそも他人への信頼に興味がない。以上のような悩みは不安定型愛着スタイルが原因であることが多い。
愛着スタイルは、産みの母との関わりを筆頭に、父、育ての母、祖父母など、さまざまな他人との関わりが形作っていく。社会で生きるとは人付き合いの連続であり、その原点となるのが彼らである。彼らとの付き合いによって、相手に助けを求めることや、その結果をどれだけ期待するかといった愛着スタイルが形造られる。また愛着スタイルは人付き合いだけでなく、その人の生き方にも大きな影響を与えている。その愛着スタイルのもととなるものが、愛着パターンである。
(参考 : 『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)
愛着パターンは4種類
愛着パターンを調べる際に、よく用いられるのは「新奇場面法」である。この方法は、子どもと母親を離し、また再開させるという場面設定をする。母親が子どもを一室に置き去りにして、しばらくしてから母親がどの部屋に戻る。そのときの子どもの反応を観察することで、愛着のパターンを分類するものである。結果から、「安定型」・「回避型」・「抵抗/両価型」・「混乱型」の合計四つのパターンに分類される。安定型以外の三つのタイプは不安定型と呼ばれる。
・愛着パターン→「安定型」と「不安定型」
・さらに不安定型→「回避型」と「抵抗/両価型」と「混乱型」
愛着パターンから変化したものである「愛着スタイル」について、以下の記事で詳しく解説している。
「安定型愛着パターン」は適度な愛着行動を示す
安定型愛着パターンは、母親が現れると素直に再開を喜び、母親に抱かれようとする。母親から離されると泣いたり不安を示したりするが、その過程は過剰というほどではない。約六割強の子どもがこの愛着パターンを示す。
安定型では、母親が安全基地としてうまく機能しており、ストレスを感じたときに適度な愛着行動を起こしているといえる。
「回避型愛着パターン」は愛着行動を起こさない
回避型愛着パターンは、母親から引き離されてもほとんど無反応であり、母親と再会しても目を合わせず、自分から抱かれようともしない。回避型愛着パターンは、安全基地を持たないため、ストレスを感じても、愛着行動を起こさないタイプだと言うこともできる。一割五分~二割の子どもがこの愛着パターンを示す。
小さいころから児童養護施設などで育った子どもに典型的にみられる。また、親の関心や世話が不足して放任になっている場合でもみられる。回避型愛着パターンの子どもは、その後反抗や攻撃性の問題がみられやすい。
子どもの回避型愛着パターンに対応する、回避型愛着スタイルの特徴を以下の記事で詳しく説明している。
「抵抗/両価型愛着パターン」は過剰な愛着行動を示す
抵抗/両価型愛着パターンでは、母親から離されると激しく泣いて強い不安を示すのに、母親が再び現れて抱こうとしても拒んだり嫌がったりする。しかし、いったんくっつくと、なかなか離れようとしない。母親の安全基地としての機能が十分でないために、愛着行動が過剰に引き起こされているといえる。一割程度の子どもがこの愛着パターンを示す。
親がかまってくれるときと無関心なときの差が大きい場合や、神経質で厳しく過干渉な親の場合が多い。抵抗/両価型の子では、その後、不安障害になるリスクが高く、また、いじめなどの被害に逢いやすいとされる。
子どもの抵抗/両価型愛着パターンに対応する、不安型愛着スタイルの特徴を以下の記事で詳しく説明している。
「混乱型愛着パターン」は無秩序な行動をとる
混乱型愛着パターンは、回避型と抵抗型が入り混じった、一貫性のない無秩序な行動パターンを示すのが特徴である。まったく無反応かと思うと、激しく泣いたり怒りを表したりする。また、肩を丸めるなど親からの攻撃を恐れているような反応をみせたり、逆に親を突然叩いたりすることもある。
混乱型愛着パターンは、虐待を受けている子や精神状態がひどく不安定な親の子どもにみられやすい。安全基地が逆に危険な場所となることで、混乱を来していると考えられる。親の行動が予測不能であることが、子どもの行動を無秩序なものにしているのである。混乱型愛着パターンの子どもでは、その後、境界性パーソナリティ障害になるリスクが高いとされる。
子どもの混乱型愛着パターンからなりやすい、恐れ・回避型愛着スタイル・未解決型愛着スタイルの特徴を以下の記事で詳しく説明している。
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