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三人に一人もの人が愛着障害をかかえる原因|愛着不安と愛着回避の増加のため

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昨今、「愛着障害」という言葉がよく聞かれるようになった。この記事では愛着障害をどれほどの人が抱えているか、また、その原因といえる愛着不安と愛着回避について説明する。

「愛着障害」とは

不安定な愛着をを抱えていると、対人関係や人生に課題や困難を抱えやすい。周囲の人に適度な信頼を持てなかったり、人付き合いにいたずらに不安を感じてしまう。そもそも他人への信頼に興味がない。また、人生で大事な行動をやらなければならないが、どうしても行動に移せない。例えば、このような状態が、 不安定型愛着に伴って支障を来たしている状態が愛着障害である。

愛着障害の詳細な定義

「愛着スペクトラム障害」と呼ばれるものがある。愛着スペクトラム障害とは岡田 尊司 氏が提唱するものだ。愛着障害には虐待や親の養育放棄による「反応性愛着障害」がある。岡田氏はそれを狭義の愛着障害としている。そして不安定型愛着(スタイル)により支障を来している状態を、狭義の愛着障害を合わせて、広義の愛着障害としている。愛着スペクトラム障害のスペクトラムとは、症状が曖昧な境界を持ちながら連続していることを意味する。また不安定型愛着とは、偏向型愛着(タイプ)と近い概念である。どちらも愛着理論をもとにした概念である。不安定型愛着は愛着理論-ABCDモデル、偏向型愛着は愛着理論-DMモデルのものである。よって愛着こう 平田は、偏向型愛着タイプを加えたものを広義の愛着障害としている。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

そもそも「愛着」や「愛着スタイル」とは

愛着障害の「愛着」とは特定の人に対する特別な結びつきのことだ。また、人格のもっとも土台の部分を形造っているものである。脳内のホルモン作用がかかわる生理学的な仕組みである。その型として愛着スタイルというものがある。この愛着の型は、対人関係や生き方に課題・困難さをもたらす。愛着の型の一種である「愛着スタイル」について、以下の記事で詳しく解説している。

「愛着スタイル」とは?| 人間関係や生き方に大きな影響を与える 「愛着スタイル」というものがある。人付き合いで悩みをかかえていないだろうか。周囲の人に適度な信頼を持てない。いたずらに不安を感じてし...

不安定型愛着は増加し、三分の一もの人が抱えている

「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版」によると、不安定型愛着を示す人口は全体の「三分の一」にも達するようだ(*1)。

愛着障害はスペクトラム障害であり、程度に差はあれ、愛着障害を抱える人は身近にも多く存在することになる。

・カップルのどちらかが不安定型愛着を抱える確率→50%以上

・三人のうち、一人でも不安定型愛着を抱えている可能性→七割

「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版」の著者は、この現状について、書籍内でこのように述べている。

引用 : ”片目を眼帯で覆って車を運転するようなものだと言えるだろう。”

・安定型の愛着を示すのは、およそ三分の二で、残りの三分の一もの子どもが不安定型愛着を示すのである。
・さらに成人でも、三分の一くらいの人が不安定型の愛着スタイルをもち、対人関係において困難を感じやすかったり、不安やうつなどの精神的な問題を抱えやすくなる。
・ご自身が、不安定型愛着を抱えているかもしれないし、恋人や配偶者や同僚がそうであるかもしれない。カップルのどちらかが不安定型愛着を抱える確率は、何と五〇パーセントを超えるのだ! さらに、三人の人がいて、そのうち一人でも不安定型愛着を抱えている可能性は、七割にも達する!
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版 ※2011年発行の書籍)

(*1)2011年発行の書籍、調査の詳細は本文に未記載。著者に対するこの記事執筆者の信頼性から引用することにした。

愛着不安と愛着回避の増加が、愛着障害の発症を増やしている

不安定型愛着が愛着障害の原因である。不安定型愛着の多くの原因は、愛着不安の強いことと、愛着回避の強いことである。愛着不安とは愛着関係を持つことに不安を覚えること。愛着回避とは愛着関係を回避しようとすることをいう。愛着不安が強いタイプの増加で、境界性パーソナリティ障害や、依存症や過食症が増加している。愛着回避が強いタイプの増加で、淡白な対人関係を好む「草食系男子」や結婚になかなか踏み切れない人が増加している。

愛着不安や愛着回避が増える大きな要因は、社会が数十年間にわたり、愛着を軽視し損なう方向に変化してことである。遺伝的要因の関与は小さく、短期間に変化するものでもない。よって原因は、先に述べた環境的要因一番が大きいのである。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

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