基礎知識

「愛着障害」とは?| その特性や克服の仕方は? 克服には安全基地が重要

※愛着に関する医療・福祉・教育情報を提供しております。それに対するコメント・参考文献一覧がこちらです。ご確認ください。

「愛着障害」をご存知ですか? 愛着障害は、不安定型愛着を原因とする。愛着障害を抱えていると、対人関係や人生に課題や困難を抱えやすい。それを克服することで、格段に対人関係や人生を豊かにしやすくなる。その方法や愛着障害とは「何か?」について説明する。

「愛着障害」とは

「愛着障害」を抱えていると、対人関係や人生に課題や困難を抱えやすい。この「愛着障害」と「愛着スペクトラム障害」は同義である。愛着スペクトラム障害とは岡田 尊司 氏が提唱するものだ。愛着障害には虐待や親の養育放棄による「反応性愛着障害」がある。岡田氏はそれを狭義の愛着障害としている。そして不安定型愛着(スタイル)により支障を来している状態を、狭義の愛着障害を合わせて、広義の愛着障害としている。愛着スペクトラム障害のスペクトラムとは、症状が曖昧な境界を持ちながら連続していることを意味する。また不安定型愛着とは、偏向型愛着(タイプ)と近い概念である。どちらも愛着理論をもとにした概念である。不安定型愛着は愛着理論-ABCDモデル、偏向型愛着は愛着理論-DMモデルのものである。よって愛着こう 平田は、偏向型愛着タイプを加えたものを広義の愛着障害としている。

・愛着障害と愛着スペクトラム障害が同義。

・愛着スペクトラム障害のスペクトラムとは、症状が曖昧な境界を持ちながら連続していることを意味する。

・狭義の愛着障害が反応性愛着障害を指す。

・広義の愛着障害は、狭義のものと、不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプにより支障を来している状態を指す。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

「愛着」や「愛着スタイル・タイプ」とは

愛着障害の「愛着」とは特定の人に対する特別な結びつきのことだ。また、人格のもっとも土台の部分を形造っているものである。脳内のホルモン作用がかかわる生理学的な仕組みである。その型として「愛着スタイル・愛着タイプ」というものがある。それは対人関係の在り方に大きな影響を与えるものである。また愛着スタイル・タイプは人付き合いだけでなく、その人の生き方にも大きな影響を与えている。愛着スタイル・愛着タイプについて、以下の記事で詳しく解説している。

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不安定型愛着により支障を来している状態とは

不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプなど、愛着スタイル・タイプにより人付き合いや人生に課題を抱えている状態である。人付き合いで悩みをかかえていないだろうか。周囲の人に適度な信頼を持てない。いたずらに不安を感じてしまう。そもそも他人への信頼に興味がない。そのような思いを抱いていないだろうか。あげるときりがないが、多くの人間関係の悩みに、不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプが関わっている。これらは人付き合いの型と言えるものだからだ。不安定型愛着により支障を来している具体例、各愛着スタイル・愛着タイプの特徴を以下の記事で詳しく説明している。

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安全基地があることで愛着を安定できる

広義の愛着障害に入るような、不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプを抱えていると人間関係や生き方に症状といえるような課題を抱えやすい。人生をもっと生きやすく実り豊かなものしたい、今抱えているさまざまな問題を良い方向に解決していきたい、もっと幸福な人生を手に入れたい。このような愛着スタイル ・愛着タイプ による症状を回復しようと思うときには、「愛着の傷をいかに克服し、安定した愛着スタイル ・愛着タイプ をもつことができるか。また、不安定な部分をいかに補えるか」が重要になる。

そのためには、その人の安全基地となる存在が助けになる。安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。対人関係において、その人が安心できる人のことである。幼児が不安になったときに、「ママ・パパ」と駆け寄るような相手である。幼児はそのように安全基地を頼り安心することで、また活発に行動できるのである。安全基地とは自分という存在が無条件に受け入れられる場所なのである。自分が何を感じ、何を思っているか、安心して話すことができる相手が安全基地になりえる。そのように自分が受け入れられると、自分の人生に対する主体性や責任を得ることができる。自分が大切にされることで、自分を大切にできるようになるのである。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

愛着の安定化から再認知がすすむ

また、愛着の安定性には、「認知」が深く関わっている。体験することをどう認知するかが愛着の安定性にとって大事なのである。不安定型愛着スタイル ・偏向型愛着タイプ を抱えていると、事態を悲観的に認知しやすい傾向がみられる。では、「認知を悲観的なものから変えることによって、愛着が安定化するか」というと、そうはなりにくい。愛着が安定化した後で認知が変わることが、大多数を占めている。

安定した愛着の人は、体験したことにしっかり向き合う。その向き合い方も客観的であり、前向きなものになりやすい。心情的な過剰反応をするのではなく、事実を客観的に受け止めることで、事態に冷静に対処することができる。

(参考 : 『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』岡田 尊司 光文社新書 初版)

大人の安全基地のつくりかたの特徴

頼ったときに安心感を与えてくれる人を見つけると、安全基地を得たといえる。自分の気持ちに共感的に応答してくれることが安全基地の重要な要素である。しかし、安全基地を持たずに大人になったといえる人ほど、安全基地をつくることが難しいといえるだろう。安全基地を持たずに生きるには、自分の気持ちに共感的な応答をしてもらうことを、捨てる必要があるからである。安全基地になるはずだった人に一種の絶望をもったため、安全基地をあきらめたといえる。安全基地をもう一度つくることは、絶望してあきらめたことにもう一度挑戦することなのだ。

(参考 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

安全基地の効果

安全基地をつくることで、他者への共感が生まれる。安全基地の人に安心感を与えられる、自分の気持ちに共感的な反応をしてもらったりすることで、他人の気持ちに共感的な反応をすることを知ることができる。今まで安全基地を持たなかった人にとって、他者への共感を心からすることができるようになる。今まで理性でしていた共感を、心でできるようになる。

(参考 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

良い安全基地とは?

「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書」によると、良い安全基地となるには5つの条件がある。以下はその条件を与えられる側から述べたものだ。

・安全感を保証してもらえる。

・感受性(共感性とも)を持ち、そうしてもらえる。

・応答性があり、求めているときに応じてもらえる。

・対応に安定性がある。

・何でも話せる。

不安定型愛着スタイル ・偏向型愛着タイプ を抱えることになったのは、これらを与えてもらえなかったことが大きな原因である。与えてもらえなっかったものを与えてくれる相手が安全基地となりえるのである。最後の「何でも話せる」という条件は他の4つが保証されることで得られるといえる。そうでなければ「何でも話そう」とは思えないのではないだろうか。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

「振り返る力 = メンタライジング力」で認知が変わる

客観的に事実を受け止めて、心情的な過剰反応しないことと最も関係していると考えられるのが、「振り返る力」である。「メンタライジング力」ともいう。これは、自分の思いや欲求に飲み込まれずに、相手の気持ちや自分のふるまいを客観的に見る力である。

振り返り力があることで、相手の気持ちを察することや、自分の行動を冷静に振り返ることができる。自分の行動を人間関係に寄与するものに変えるのに、必要な能力である。例えとして、二人で会話する場面を想定する。私が興味があることを一方的に話しすぎたとする。そこで、相手が話をできずにいやな思いをしていると気づく。それにより相手の興味のある話ができるように話題を切り替えるという対応をとる。そのような対応によって、相手は私に対する安心感や信頼感を取り戻し、人間関係を良好で継続的なものにすることができる。

(参考 : 『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』岡田 尊司 光文社新書 初版)

「振り返り = メンタライジング」で過去の傷を再認知し、悪循環を断ち切る

メンタライジングによって過去の愛着の傷について再認知することで、愛着障害の克服につながる。例えば、その人の過去を紐解いていくことで、親に支配され、いつも顔色を見て機嫌をとってきた過去を思い出す。そうした過去の体験も視野に置きつつ、人の顔色ばかりうかがってしまうという現在の行動を振り返ってみると、自分が過去の体験を再現しているということが理解される。このように、愛着の傷となっている体験から、現在の行動に至るまでを理解したとき、人は心を強く動かされ、認知や行動の修正が起きやすくなる。過去の愛着の傷による行動が原因で、現在の愛着関係を破壊しようとしているという悪循環を断ち切ることができるのである。

(参考 : 『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』岡田 尊司 光文社新書 初版)

おまけ : 「愛着障害」でみる社会

ここまでの解説で「愛着障害」をミクロの視点で紹介したきたが、次にマクロの視点でみる。マグロの視点でみることで、愛着が社会全体にもたらす影響を理解できる。

誰にでも安全基地がある社会へするために、「愛着障害」といかに向き合うか?

愛着の3つの特徴、
・誰もが他人から愛着への影響を受け、他人の愛着へ影響を与えている。
・愛着障害はスペクトラム障害である。
・誰もが愛着障害になりえる。
この3点から、「社会の構成員が相互扶助で愛着障害と向き合う」ことが必要だと考える。皆が、「安全基地」を頼り、自らも誰かの「安全基地」になることだ。

誰もが愛着障害になりえる。愛着は大人になった後でも、他者とどんな関りをするかによっては、ネガティブな影響を受ける。スペクトラム障害であることもあわせると、誰もが愛着障害を抱えることと身近であるといえる。実際、「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版」によると、不安定型愛着を示す人口は全体の「三分の一」にも達するようだ(*1)。愛着障害はスペクトラム障害であり、程度に差はあれ、愛着障害を抱える人は身近にも多く存在することになる。

誰しもに「安全基地」があり、自らも誰かの「安全基地」となる。愛着について、相互扶助が行われる社会にする。そうすることで、効率よく愛着障害と向き合うことができると考える。愛着障害の罹患経路・症状は多くの人が経験する。互恵的に安全基地となることで、愛着障害となったものが救われ、新たに生み出さない社会に近づくと考える。

(*1)2011年発行の書籍、調査の詳細は本文に未記載。著者に対するこの記事執筆者の信頼性から引用することにした。

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