基礎知識

「愛着障害」とは?|その特性や克服の仕方は? 克服には安全基地が重要

「愛着こうで提供する情報の信憑性について」です。ご確認ください。

当記事では「愛着障害」について解説する。愛着障害とは一般に言われる「不安定な愛着が原因となり、対人関係やその他生き方に様々な問題が生じる状態」だけでなく、様々な定義がある。当記事では、まず愛着とは何かから、愛着障害の複数の詳しい定義、愛着障害の治療・克服法について解説していく。

愛着とは?

愛着理論の「愛着」とは特定の人に対する特別な結びつきのことだ。また、人格のもっとも土台の部分を形造っているものである。脳内のホルモン作用がかかわる生理学的な仕組みである。その型として愛着スタイルというものがある。この愛着の型は、安定した型と不安定な型がある。これが不安定な型といえると、対人関係や生き方に課題・困難さをもたらす。愛着の型の一種である「愛着スタイル」・「愛着タイプ」について、以下の記事で詳しく解説している。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 : 『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)
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安定した安全基地を持てないことで、愛着の課題が生じる

「心細いとき、そのことを素直に話せて、頼ることができる人のこと。安全基地に頼ると、安心したり、もう一度やってみようと思ったりできる存在」をもっていなかったり、これが安定した存在でないなど、安定した安全基地を持てないことで、愛着の課題が生じる。これがいわゆる愛着障害だ。また、特定の人に対する特別な結びつきが不安定であることを、不安定な愛着であるとも言われる。

愛着の重要性

子どもの愛着

幼児期の愛着形成はその後の人生において非常に重要な意味を持っている。健全な愛着関係を築くことが、その後の友人関係や他者とのコミュニケーション能力の発達にも影響を与えると考えられる。

(参考 : 『アタッチメント(愛着)の形成と、保育の役割』平野美沙子 環境と経営 : 静岡産業大学論集 19(2))

大人の愛着

不安定な愛着がもたらすもの

不安定な愛着は様々な悩みをもたらす。人間の悩みほとんどは4つに分類できる。それをHARMの法則というが、「人間の悩みのほとんどはHealth(健康)・Ambition(キャリア)・Relationship(人間関係)・Money(お金)に分類できる。」というものだ。以下、参考文献からHARMの法則に沿って症状のまとめである。

「Ambition(キャリア」 →人間関係の問題を職場に持ち込んでしまう(愛着不安が根本)。人生の課題からどうしても逃げてしまう(愛着回避が根本)。
「Relationship(人間関係)」 →密接になる対人関係に不安を持ちやすく、その不安が行動に出ることで対人関係が悪化する傾向がみられる。パートナーが自分をどう評価するかによって、自分自身に対する評価まで変化しやすいという特徴がある。(愛着不安が根本)。 人付き合いを避ける傾向にあり、自分の未来や将来に対する責任を避けがちになる傾向がみられる。恋人やパートナーから助けを求められることが苦手であり、助けに応えるという反応も見られにくい。(愛着回避が根本)。
また、
「Health(健康)」 →他のA・R・Mがもたらすストレスによる身体的不調。
「Money(お金)」 →他のA・R・Hがもたらすストレスや葛藤を解消するため、過剰消費をもたらす。

不安定な愛着が対人関係に課題や困難さをもたらす

回避が強い愛着を抱えていると、パートナー(妻や夫、恋人など)の感情に共感することが難しくなることがある。不安が強い愛着を抱えていると、パートナーに対する要求が社会一般のものより過大になりやすい。過剰に好意の承認を求めたり、過剰なコミュニケーション頻度の要求などだ。このように、不安定な愛着は対人関係に問題をつくるきっかけになりやすい。幼いころに安定した愛着を築けず、他人への不信感を抱えることが建設的な人間関係を築きにくくしている。他人を信じることができず、人間関係を避けるか、人を求めても多くの不安を抱えるかにわかれる。愛着スタイルでいうと、前者が回避型愛着スタイル、後者が不安型愛着スタイルである。

(参考 :『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

不安定な愛着は生き方にも課題や困難さをもたらす

また不安定な愛着の影響は対人関係のみに収まらない。不安定な愛着は、生き方にも課題や困難さをもたらす。 例えば、回避が強い愛着を抱えていると、自分の人生に対する積極的な行動をとることが難しくなる。自分の人生であるのに、どこか流れされるような生き方に終始しやすい。彼らは自分を大切にすることを身に着けられていないことが多い。愛着が確立されたものになる段階で自分が大切にされていないと感じるためである。すると、人生に対する無気力さや無関心さ、投げやりさを覚えやすい。悩みがある状態ときに仕事のやる気が出にくいことを想像していただければわかりやすい。

不安が強い愛着では、誰か頼る相手がいることが助けになることもある。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

愛着障害の定義

愛着障害というと、複数の意味合いがある。疾病分類や医療現場で扱われる際のもの、社会一般で言われる際にさすものがある。

「愛着スペクトラム障害」という捉え方

まず社会一般で言われる愛着障害と言われる際には、「不安定な愛着が原因となり、対人関係やその他生き方に様々な問題が生じる状態」をいう。愛着スペクトラム障害などとも言われる。スペクトラムとは連続体という意味を持つ。当記事では以下さまざまな愛着障害の定義を解説するが、「このラインを超えていると愛着障害だ」などと決められる線引きはなく、症状には強弱があるということをスペクトラムという言葉に含まれている。

こうした不安定型愛着に伴って支障を来している状態を、狭い意味での愛着障害、つまり虐待や親の養育放棄による「反応性愛着障害」と区別して、本書では単に「愛着障害」と記すことにしたい。このような広い意味での「愛着障害」は、筆者が既に提起した「愛着スペクトラム障害」と同義である。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

人が愛着に関する問題を抱えることはある。それを愛着障害ということができるし、「愛着障害とはこんな物だ」という共通認識は社会で広まっている。しかし、その共通認識の愛着障害は誰もが認める権威性ある機関が決めているものではない。その権威性ある機関とは、WHO(世界保健機関)やアメリカ精神医学会だ。

小児期の反応性愛着障害・脱抑制性愛着障害

WHO(世界保健機関)はICD、アメリカ精神医学会はDSMと疾病や精神疾患の分類をつくっている。
そのICDとは…

「疫病及び関連保険問題の国際統計分類 : International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(以下「ICD」と略)とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疫病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。(改段落)我が国では、統計法(平成19年法律第53号。以下「法」という。)第28条第1項の規定に基づき、法第2条第9項に規定する統計基準として、ICDに準拠した「疫病、傷害及び死因の統計分類」を告示している。現在、国内で使用している分類は、ICD-10(2013年版)に準拠しており、統計法基づく統計調査に使用されるほか、医学的分類として医療機関における診療録の管理等に活用されている。
(引用 : 『「疫病、傷害及び死因の統計分類」|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/)』(2021/08/24 17:29時点の名称・URL))

だ。

次にDSMとは…

DSMとは、アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断基準診断分類です。正式名称は「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manuual of Mental Disorders)」といい、その頭文字を略してDSMと呼びます。(改段落)DSMは、精神医学の研究や治療を行っている人に、精神疾患の基本的な定義などを示したものです。もともとはアメリカで作られたものですが、現在は国際的に利用されていて、日本でも精神疾患の診断に用いられています。
(引用 : 『DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)とは?主な内容、診断基準としての使われ方、診断後に受けられる治療・支援を解説します|LITALICO仕事ナビ(https://snabi.jp/article/127)』(2021/08/24 17:29時点の名称・URL))

だ。

その分類では愛着障害以下のように定義されている。

・「ICD-10では…F94.1(小児<児童>期の反応性愛着障害),F94.2(小児<児童>期の脱抑制性愛着障害)」
(※まだ日本適用がされていないICD-11では…6B44(Reactive attachment disorder)、6B45(Disinhibited social engagement disorder))

・「DSM-Ⅳでは…313.89 幼児期または小児期早期の反応性愛着障害」(※Ⅳはアラビア数字で4で、DSM-Ⅳは旧バージョンのDSM)

・「DSM-5では…反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害・脱抑制型対人交流障害」

その「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」の特徴とは、

A.反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害
1.病態の把握
アタッチメントとは、つまり人や動物などに対する情緒的な結びつき、愛着を指す。幼少期に虐待を受けるなどして養育者との間で十分な安心感を得られず育ち、アタッチメント形成に問題が生じ、幸福な満足といった陽性の感情がほとんど見られなくなる状態である。
(引用 : 『精神科レジデントハンドブック第3版』平安良雄 編集 中外医学社)
B.脱抑制型対人交流障害
1.病態の把握
反応性アタッチメント障害と同じく幼少期のアタッチメント形成に問題があり、見慣れない大人への距離の極端な近さが特徴的である。
(引用 : 『精神科レジデントハンドブック第3版』平安良雄 編集 中外医学社)

だ。

また、小児期でも反応性愛着障害などの基準にかからない場合でも、大人の愛着障害のように愛着障害と呼ばれることもある。

このように愛着障害にはたくさんの定義がある。国際的に権威ある疾病分類に則った「子どもの愛着障害」(反応性愛着障害・脱抑制性愛着障害)と「大人の愛着障害」(、また「子どもの愛着障害」)で、「今読んでいる記事の愛着障害はどんな定義だろうか?」と意識する必要がある。

(参考 : 『「疫病、傷害及び死因の統計分類」|厚生労働省([https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/](https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/))』(2021/08/24時点の名称・URL))
(参考 : 『DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)とは?主な内容、診断基準としての使われ方、診断後に受けられる治療・支援を解説します|LITALICO仕事ナビ([https://snabi.jp/article/127](https://snabi.jp/article/127))』(2021/08/24 17:29時点の名称・URL))
(参考 : 『厚生労働省 : 第3回発達障害者支援に係る検討会の資料について([https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0315-3i.html](https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0315-3i.html))』(2021/08/25 03:26時点の名称・URL))
(参考 : 『DSM-5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)』日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会 精神神経学雑誌 第116巻 第6号(2014)429-457頁。)
(参考 : 『ICD-11(https://icd.who.int/en)』(2021/10/03 01:50時点の名称・URL))

大人の愛着障害

愛着システムは生涯ものだとボウルビィは言っている。

・Bowlby(1973, 1980, 1982)は自らの考えを、人の揺かごから墓場までのパーソナリティの生涯発達を理解するための総合理論であると言明していた。彼の中核的な関心は、生涯を通して人が特定の他者に身体的・情緒的にくっつきうる(attach)ということの発達的・適応的な意味と、また、そうした安心感の源たる関係性を喪失したときの人の心身全般にわたる脆弱性とに注がれていたのだといえる。
(引用 : 『アタッチメント理論の現在―生涯発達と臨床実践の視座からその行方を占うー』遠藤利彦 東京大学大学院教育学研究科 教育心理学年報 第49集)

ではなぜ成人アタッチメントがあるのか? というか、どんな役割があるのか? それは種の存続だ。乳児は世話をしてもらわなければならないが、そのような仕組みなしに乳児の世話をするだろうか。

その成人期にアタッチメント(成人アタッチメント)が果たす役割はこの3つだ。

・関係性としてのアタッチメント
・情報処理過程としてのアタッチメント
・自分とわが子を守る方略としてのアタッチメント
(引用 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

これを言い直すと、

・関係性としてのアタッチメント→「対人関係の判断・行動基準としての役割」

・情報処理過程としてのアタッチメント→「情報の判断・行動基準としての役割」

・自分とわが子を守る方略としてのアタッチメント→「自身や子を保護の判断・行動基準としての役割」

だ。

当記事冒頭でも大人の愛着障害の定義について述べたが、さらに詳細に言うと、この成人アタッチメントが役割を果たした結果「心身の健康に支障が出ている状態・社会的適応に支障が出ている状態」が大人の愛着障害と言われるものだ。

(参考 : 『アタッチメント理論の現在―生涯発達と臨床実践の視座からその行方を占うー』遠藤利彦 東京大学大学院教育学研究科 教育心理学年報 第49集)
(参考 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

なぜ子どもの時に愛着障害が大人の愛着障害になるのか?

小児期の反応性愛着障害と大人の愛着障害について以下の研究成果もある。

一方で、DSM-5基準を満たしたRAD(*1)児21人の脳皮質容積を調べてみたが、定型発達児22人に比べて、左半球の一次視覚野(ブロードマン17野)の容積が20.6%減少していた(図3A)(Shimada et al., 2015)。その視覚野の容積現象は、RAD児が呈する過度の不安や恐怖、心身症状、抑うつなど、「子どもの強さと困難さアンケート」の内向的尺度と明らかに関連していた(図3B)。前述したように子ども時代に虐待を受けた成人は視野覚の灰白質容積減少(Tomoda et al., 2009a; Tomoda et al., 2012)があり、しかもそれらの成人では後頭から側頭領域を結ぶ下縦束(Inferior longitudinal fasciculus : visual limbic pathwayの一部) の白質線維が減少していた(Choi et al., 2012)。視覚野は視覚的な感情処理に関連する領域である。
(引用 : 『マルトリートメントに起因する愛着形成障害の脳科学的知見』友田明美 予防精神医学 Vol.2(1)2017)
(*1)RAD=Reactive Attachment Disorder(反応性愛着障害)(記事執筆者追加)

また、精神療法家ベッセル・ヴァン・デア・コーク(有名著書 : 『身体はトラウマを記録する』)は、感情制御機能の問題が大人の愛着障害への推移に関わっていると主張している。

特に、反応性愛着障害(Reactive Attachment Disorder : RAD)や脱抑制型社交障害(Disinhibited Social Engagement Disorder : DSED)は、感情制御機能に問題を抱えており、多動性行動障害、解離性障害、大うつ病性障害、境界性パーソナリティ障害等などの重篤な精神疾患へ推移するとされる(van der Kolk, 2003)。
(引用 : 『マルトリートメントに起因する愛着形成障害の脳科学的知見』友田明美 予防精神医学 Vol.2(1)2017)
(参考 : 『子育て困難を支援する”愛着障害の診断法と治療薬”の開発〜発達障害や愛着障害の脳科学的研究〜』友田明美 YAKUGAKU ZASSHI 136(5) 711-714(2016))
(参考 : 『マルトリートメントに起因する愛着形成障害の脳科学的知見』友田明美 予防精神医学 Vol.2(1)2017)

愛着障害での困りごと

愛着障害の原因は不安定な愛着だ。

不安定な愛着が対人関係に課題や困難さをもたらす

回避が強い愛着を抱えていると、パートナー(妻や夫、恋人など)の感情に共感することが難しくなることがある。不安が強い愛着を抱えていると、パートナーに対する要求が社会一般のものより過大になりやすい。過剰に好意の承認を求めたり、過剰なコミュニケーション頻度の要求などだ。このように、不安定な愛着は対人関係に問題をつくるきっかけになりやすい。幼いころに安定した愛着を築けず、他人への不信感を抱えることが建設的な人間関係を築きにくくしている。他人を信じることができず、人間関係を避けるか、人を求めても多くの不安を抱えるかにわかれる。愛着スタイルでいうと、前者が回避型愛着スタイル、後者が不安型愛着スタイルである。

(参考 :『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

不安定な愛着は生き方にも課題や困難さをもたらす

また不安定な愛着の影響は対人関係のみに収まらない。不安定な愛着は、生き方にも課題や困難さをもたらす。 例えば、回避が強い愛着を抱えていると、自分の人生に対する積極的な行動をとることが難しくなる。自分の人生であるのに、どこか流れされるような生き方に終始しやすい。彼らは自分を大切にすることを身に着けられていないことが多い。愛着が確立されたものになる段階で自分が大切にされていないと感じるためである。すると、人生に対する無気力さや無関心さ、投げやりさを覚えやすい。悩みがある状態ときに仕事のやる気が出にくいことを想像していただければわかりやすい。

不安が強い愛着では、誰か頼る相手がいることが助けになることもある。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

不安定型愛着により支障を来している状態とは

不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプなど、愛着スタイル・タイプにより人付き合いや人生に課題を抱えている状態である。人付き合いで悩みをかかえていないだろうか。周囲の人に適度な信頼を持てない。いたずらに不安を感じてしまう。そもそも他人への信頼に興味がない。そのような思いを抱いていないだろうか。あげるときりがないが、多くの人間関係の悩みに、不安定型愛着スタイル・偏向型愛着タイプが関わっている。これらは人付き合いの型と言えるものだからだ。不安定型愛着により支障を来している具体例、各愛着スタイル・愛着タイプの特徴を以下の記事で詳しく説明している。

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愛着障害の治療・克服

「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」の治療や克服

・子どもの養育背景を十分に評価した上で、安全な環境下で養育者との安定した関係を築いていくことが重要となる。関係機関と連携をとりながら支援を整える、環境調整を行う。
(引用 : 『精神科レジデントハンドブック第3版』平安良雄 編集 中外医学社)

「脱抑制型対人交流障害」の治療

・反応性アタッチメント障害と同様、子どもの養育背景を十分に評価した上で、安全な環境下で養育者との安定した関係を築いていくことや、関係機関と連携を取りながら支援を整える。環境調整を行うことが重要である。
(引用 : 『精神科レジデントハンドブック第3版』平安良雄 編集 中外医学社)
(参考 : 『精神科レジデントハンドブック第3版』平安良雄 編集 中外医学社)

反応性愛着障害(DSM-Ⅳ)の治療薬

反応性愛着障害(DSM-Ⅳ)の治療薬の研究も進んでいる。オキシトシンを有効成分として含有し、長期投与時の安全や服用の簡便さが目指されている。

(参考 : 『J-STORE(~愛着障害治療剤 友田 明美 特願2013-264454~)(https://jstore.jst.go.jp/nationalPatentDetail.html?pat_id=34216)』(2021/10/07 15:35時点の名称・URL))

愛着障害を克服する方法

※当見出しは資料から推定

子ども時代の内的作業モデル(※愛着スタイルや愛着タイプなどは内的作業モデルを理解するために分類したもの)と違う内的作業モデルを持つこともできる。

またBowlbyは発達的経路development pathwayという概念も提唱している。この経路とは軌道trajectoriesのことではない。つまり、一度道筋の方向付けが決まったなら、生涯を通じてそれが維持される、というものでは必ずしもないことを意味している。むしろ、経路という比喩があえて使用されたのは、変化点と交差点という発想が含まれているからであり、そこで個人の発達の方向性は最初の道筋からは必ずしも予測できない形で修正され得るのである。
(引用 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

つまり、子ども時代の内的作業モデルは今後の人生で変えることができるのだ。

安全基地をつくる

安全基地とは「心細いとき、そのことを素直に話せて、頼ることができる人のこと。安全基地に頼ると、安心したり、もう一度やってみようと思ったりできる存在」だ。
安全基地とは心理学の愛着理論からうまれたものだ。その愛着とは「人が生後数ヶ月のあいだに特定の人(母親や父親)との間に結ぶ情愛的な絆」だ。安定したアタッチメント関係を養育者と作っている子どもは、養育者から程度な距離に離れて探索し、離れている時間が長くなったり、何かに苦痛を感じると、安全な避難所として養育者の元に戻ってくる。これがアタッチメント対象であり安全基地だ。子どもたち成長するにつれ、親とは異なった安全基地を作ってゆく。保育園の先生、学校の先生、友達、恋人、そして成人すると配偶者などが、新たな安全基地となる。
また、並行して、安定したアタッチメント対象は人が認知する過程の中で心の中に作り上げる対人関係のモデルをつくりあげる。これが他者に対する基本的信頼感や自己に対する肯定感の基盤となり、人の社会・情緒的発達に際した危機からの保護や、危機から立ち直る心の拠り所として役に立つ。

・愛着とは、アタッチメント(Attachment)と呼ばれ、1969年にボウルビィによって提唱された。ボウルビィは愛着(Attachment)を「人が生後数ヶ月のあいだに特定の人(母親や父親)との間に結ぶ情愛的な絆」と定義している。
(引用 : 『アタッチメント(愛着)の形成と、保育の役割』平野美沙子 環境と経営 : 静岡産業大学論集 19(2))
・さて、1、2歳児とその養育者との関係に、アタッチメント形成の現れとして「安全基地現象」がみられる(Bowlby, 1969/1982)。安定したアタッチメント関係を養育者と作っている子どもは、養育者から程度な距離に離れて探索し、離れている時間が長くなるか何かに苦痛を感じると、養育者の元に戻ってくる(安全な避難所 ; 寄港できる港)。このように、いわば自立と依存のバランスが取れている乳幼児が、安定したアタッチメント形成をしていると考えられる。成長するにつれ、子どもは養育者から離れられる距離が増してくる。小学校、中学校、高校と、より遠くに探索しては、親の元に戻ってくる。また、子どもたちは、親とは異なったアタッチメント対象(安全基地)を作ってゆく。保育園の先生、学校の先生、友達、恋人、そして成人すると配偶者などが、新たな安全基地となる。並行して、これら安全基地はアタッチメントについての内的表象いわゆるinternal working modelの重要な構成要素として、個体の行動に影響を与えることとなる(Bowlby, 1969/1982)。安定したアタッチメント対象は心の安全基地(表象の中で)となり、他者に対する基本的信頼感や自己に対する肯定感の基盤となり、個体の社会・情緒的発達の保護因子やレジリエンスとなるとされている。
(引用 : 『人間のアタッチメントについて―人間の乳幼児のアタッチメントとその障害―』 青木豊 目白大学 特別講演-こころの安全基地(第22回学術集会 2016. 02))

方法の一つに、愛着に注目したアプローチを試みようとする流れがある。その人の身近な人が安全基地としてその人の内面(内的作業モデル)を自立した安定したものへとしようとするアプローチだ。「愛着の傷をいかに克服し、安定した愛着スタイル ・愛着タイプ をもつことができるか。また、不安定な部分をいかに補えるか」が重要になる。安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。対人関係において、その人が安心できる人のことである。幼児が不安になったときに、「ママ・パパ」と駆け寄るような相手である。安全基地とは自分という存在が無条件に受け入れられる場所なのである。自分が何を感じ、何を思っているか、安心して話すことができる相手が安全基地になりえる。そのように自分が受け入れられると、自分の人生に対する主体性や責任を得ることができる。自分が自分の心が大切にされることで、自分自身を大切にできるようになるのである。

大人にとっての現実的な安全基地

※当見出しは資料から推定

現実的な「大人の安全基地は、自分と違うものをもって生まれていても、自分と違う環境で育ち、自分と違う営みをしてきていても、自分の気持ちを無条件に受け止めてくれる人」だ。共感とは違う。自分とは違う気持ちを持つ人の存在を認められるかだ。

安全基地をつくるだけではない、愛着障害を克服する方法

また、それを助ける有効な手段が自分の感情を理解する力だ。

安全基地をつくることは克服への第一歩

どんな愛着でも克服方法は変わらない。今ある不安や心配、無力感、苦しみを受け入れてもらえることが克服への第一歩である。あなたが不安・心配、無力感、苦しみといったものでいっぱいだということを、一緒に感じてもらうことが必要である。これをしてくれる人が安全基地なのだ。

安全基地に共感してもらうことで内省力・共感力が身に付く

愛着障害なのは「情動と理性のどちらかに認知の偏りが生じている状態」だからである。認知の偏りを戻すことで愛着障害を克服できる。その認知の偏りを戻すには、「振り返り力」を高める必要がある。振り返り力とは、自分に起きた事実を客観的に受け止め、過剰に反応しない技術力と言い換えることができる。その振り返り力を高めるには、落ち着いた状態となり、自他の感情や思いに気づく能力が必要だ。

安定した愛着の人は、体験したことにしっかり向き合う。その向き合い方も客観的であり、前向きなものになりやすい。心情的な過剰反応をするのではなく、事実を客観的に受け止めることで、事態に冷静に対処することができる。

今の自分の思いや欲求に飲み込まれず、相手の気持ちや自分のふるまいを客観的に見る力である「内省力・共感力」が、振り返る力をもたらす。内省力や共感力は、安全基地に共感的な対応をしてもらうことで身につく。内省力と共感力は背中合わせの能力であると考えられているもので、共感的な対応をしてもらうことが、内省力を育む。つまり、愛着障害の克服は、幼い頃の共感不足を取り戻ることで達成できるのである。

感情に飲み込まれない力を身に付ける

そしてもう一つ、マインドフルネス・瞑想が振り返り力を高めるのに大変役に立つ。呼吸を整えることで、刺激で乱れている頭を整えてクリアにすることがマインドフルネス・瞑想の本質的な価値となる。「頭をクリアにする力」とでも言える。マインドフルネス・瞑想については所要時間や呼吸のタイミングなど様々な方法がある。マインドフルネス教室で学ぶ以外にも、インターネットや書籍でも紹介さており、ご自身にあったやり方を、比較しながら探すことができる。

「安全基地をつくり愛着障害を克服するには?」
認知の偏りを戻すためには「振り返り力」を高める必要がある。振り返り力は「内省力・共感力」と「頭をクリアにする力」がもたらすものだ。共感してもらうことで「内省力・共感力」が育まれる。マインドフルネス・瞑想をすることで「頭をクリアにする力」を得ることができる。激しく感情が揺らされる愛着に起因する出来事があった時にも、頭をクリアにし、相手の事情に共感を持ち自身の内省をすることができれば、あなた自身の人生を生きやすいものにすることができる。
それでも大事なことが「あなたの周りの方が安全基地になること」

それでも大事なことが「あなたの周りの方が安全基地になること」だ。内省力・共感力も大事だし、マインドフルネスなどで心を落ち着ける能力も大事だが、安全基地も大事だ。

安全基地は内省力や共感力、心を落ち着ける力を得るサポートとなる。安全基地に頼ることで、それらを持っていなくても体感できるからだ。

「あなたの周りの人が安全基地を持てる」ようなチャンスがあれば掴んで欲しい。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 : 『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)

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