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「安全基地」とは?|心細いとき、そのことを素直に話せて、頼ることができる人のこと

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安全基地とは「心細いとき、そのことを素直に話せて、頼ることができる人のこと。安全基地に頼ると、安心したり、もう一度やってみようと思ったりできる存在」だ。

安全基地とは?

安全基地とは「心細いとき、そのことを素直に話せて、頼ることができる人のこと。安全基地に頼ると、安心したり、もう一度やってみようと思ったりできる存在」だ。

不安になった時にその不安を話せ、気持ちを受け止めてもらえ、心が温かくなる。そのような人があなたにとっての安全基地だ。何かに挑戦していて辛い思いでつまったとき、その安全基地に頼ることで、気持ちを整理でき、もう一度やってみようと思ったりできる。

安全基地とは心理学の愛着理論からうまれたものだ。その愛着とは「人が生後数ヶ月のあいだに特定の人(母親や父親)との間に結ぶ情愛的な絆」だ。安定したアタッチメント関係を養育者と作っている子どもは、養育者から程度な距離に離れて探索し、離れている時間が長くなったり、何かに苦痛を感じると、安全な避難所として養育者の元に戻ってくる。これがアタッチメント対象であり安全基地だ。子どもたち成長するにつれ、親とは異なった安全基地を作ってゆく。保育園の先生、学校の先生、友達、恋人、そして成人すると配偶者などが、新たな安全基地となる。

また、並行して、安定したアタッチメント対象は人が認知する過程の中で心の中に作り上げる対人関係のモデルをつくりあげる。これが他者に対する基本的信頼感や自己に対する肯定感の基盤となり、人の社会・情緒的発達に際した危機からの保護や、危機から立ち直る心の拠り所として役に立つ。

・愛着とは、アタッチメント(Attachment)と呼ばれ、1969年にボウルビィによって提唱された。ボウルビィは愛着(Attachment)を「人が生後数ヶ月のあいだに特定の人(母親や父親)との間に結ぶ情愛的な絆」と定義している。
(引用 : 『アタッチメント(愛着)の形成と、保育の役割』平野美沙子 環境と経営 : 静岡産業大学論集 19(2))
・さて、1、2歳児とその養育者との関係に、アタッチメント形成の現れとして「安全基地現象」がみられる(Bowlby, 1969/1982)。安定したアタッチメント関係を養育者と作っている子どもは、養育者から程度な距離に離れて探索し、離れている時間が長くなるか何かに苦痛を感じると、養育者の元に戻ってくる(安全な避難所 ; 寄港できる港)。このように、いわば自立と依存のバランスが取れている乳幼児が、安定したアタッチメント形成をしていると考えられる。成長するにつれ、子どもは養育者から離れられる距離が増してくる。小学校、中学校、高校と、より遠くに探索しては、親の元に戻ってくる。また、子どもたちは、親とは異なったアタッチメント対象(安全基地)を作ってゆく。保育園の先生、学校の先生、友達、恋人、そして成人すると配偶者などが、新たな安全基地となる。並行して、これら安全基地はアタッチメントについての内的表象いわゆるinternal working modelの重要な構成要素として、個体の行動に影響を与えることとなる(Bowlby, 1969/1982)。安定したアタッチメント対象は心の安全基地(表象の中で)となり、他者に対する基本的信頼感や自己に対する肯定感の基盤となり、個体の社会・情緒的発達の保護因子やレジリエンスとなるとされている。
(引用 : 『人間のアタッチメントについて―人間の乳幼児のアタッチメントとその障害―』 青木豊 目白大学 特別講演-こころの安全基地(第22回学術集会 2016. 02))

安全基地が必要な理由

安全基地に慰めてもらってきた人は、慰めを求めたり、与えたり、受け取ったりすることを気楽にできるからだ。

安全基地がおらず慰めてもらってこなかった人は、気楽に慰めを求めたり、与えたり、受け取ったりすることができない。しかし、安全基地がいなかった人もその後安全基地に頼ることができる。安全基地がいない環境から安全基地となる人がいる環境に変化すると、いずれ「安全基地に頼っていいんだ、慰めを受け取っていいんだ」と気づく時がくる。

気楽に慰めを求めたり、与えたり、受け取ったりすることができない人が安全基地を望んでいないと安易に判断すべきでない。無理に押し付けるものでもない。安全基地がいなかった人の安全基地になる人にとってこれが難解だ。言葉でなくてもいい、身体的な密着でもいい、目での会話でもいい、その人にとってより慰めを求めやすい方法を一緒に見つけていくべきものだ。

このように、安全基地をより多くの人が持つために安全基地が必要なのだ。安全基地に慰めてもらってきた人は、慰めを求めたり、与えたり、受け取ったりすることを気楽にできる。人は安全基地から慰めてもらうことで、自分も他人の安全基地になることができる。「安全基地に慰めてもらってきた人が他人の安全基地になる」という流れが続くことで、多くの人に安全基地を繋いでいくことができる。

・特にBタイプの人たちは慰めを求めたり、与えたり、受け取ったりすることを気楽にできる。
・純真なBタイプの人たちは安全で支持的な生育歴を持っている一方で、獲得されたBの人たちはいかなる種類の生育歴も持っている可能性がある。
・アタッチメント関係の再構成は心的方略および行動的方略を修正する。または変化させることを含んでいる。不一致を経験することで以前のパターンの限界と他の方略の可能性の両方に気づくことができると、再構成が可能になる。それが成功した場合の結果が、以前のものとは異なる、またはより洗練された新しいパターンである。新しいパターンはよりバランスの取れた自己防衛的視点を反映している「獲得された」バランスの取れた方略かもしれないが、いつもそのような結果が得られるわけではない。成熟することで、以前は脅威であったものがもはや脅威ではないと認識できるようになる場合もある。このために、今度は話し手が一つの自己防衛方略を捨てて、別のものを選ぶことができるようになるのである。したがって、否定的感情を表出してももはや危険な目に遭わないことに気づいたAタイプの青年は両親の不正に対する怒りにとらわれるようになるかもしれない。同様に、両親がいなくても生き抜くことができると気づいたCタイプの青年はアタッチメント関係から距離を取るようになるかもしれない。(これらの過程はどの年齢でも起こり得るが、青年期では特に頻繁である。)いずれにせよ、AとCの両方のパターンが積極的に使用されている場合、知的理解が手続き機能よりも成熟している場合も含めて、話し手はあるパターンから別のパターンへと再構成しているものとして分類することができる。(その過程が完了した時、話し手はその結果の分類へと割り当てられる。)変化の方向はAまたはCからBへということもあり得るし、AからCへ、またはその逆という変化もあり得る。
(引用 : 『成人アタッチメントのアセスメント-動的-成熟モデルによる談話分析-』著者:パトリシア・M・クリテンデン、アンドレア・ランディーニ 監訳者:三上 謙一 岩崎学術出版社 初版)
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安全基地を持てていなかった人は慰めを簡単に受け入れられない

安全基地を持てていなかった人は慰めを簡単に受け入れられない。安全基地になろうとしてくれる人に頼れなかったりする。「頼っていいよ」と言ってくれる人には頼れなくても、自分の思いを受け止めてくれる人には頼れたりする。自分の思いを受け止めてくれるから頼りたくなる。一方的に慰めをあげると言われても、困惑してしまうのである。いきなり慰めをもらっても困惑するのである。

「この人なら今度こそ自分は慰めを得られるのか? それは本当なのか?」と疑問を感じしまう。だからこそ、「今の慰めは今後もくれるの?」、慰めをもらえるタイミングがズレると「今慰めが欲しいのに…。」と感じる。求める慰めからずれると困惑するのである。

困惑が変化する中で、あきらめと疑いと怒りを感じる。変化の時に感情が切り替わる。安全基地がいない環境から安全基地となる人がいる環境に変化すると、いずれ「安全基地に頼っていいんだ、慰めを受け取っていいんだ」と気づく時がくる。

安全基地の作り方は?

良い安全基地の特徴である、頼ったときに安心感を与えてくれる人を見つけると、安全基地を得たといえる。自分の気持ちに共感的に応答してくれることが安全基地の重要な要素である。しかし、安全基地を持たずに大人になったといえる人ほど、安全基地をつくることが難しいといえるだろう。安全基地を持たずに生きるには、自分の気持ちに共感的な応答をしてもらうことを、捨てる必要があるからである。安全基地になるはずだった人に一種の絶望をもったため、安全基地をあきらめたといえる。安全基地をもう一度つくることは、絶望してあきらめたことにもう一度挑戦することなのだ。

パートナーや家族などが信頼できる安全基地として役割を果たしてくれることもあるだろう。そのように、身近にふさわしい人が見つからない場合は、信頼できる専門家も安全基地となってもらうのに適任である。

(参考 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)
(参考 : 『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』岡田 尊司 光文社新書 初版)
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安全基地のなり方は?

「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書」によると、良い安全基地となるには5つの条件がある。以下はその条件を与えられる側から述べたものだ。

・安全感を保証してもらえる。

・感受性(共感性とも)を持ち、そうしてもらえる。

・応答性があり、求めているときに応してもらえる。

・対応に安定性がある。

・何でも話せる。

不安定型愛着スタイルを抱えることになったのは、これらを与えてもらえなかったことが大きな原因である。与えてもらえなっかったものを与えてくれる相手が安全基地となりえるのである。最後の「何でも話せる」という条件は他の4つが保証されることで得られるといえる。そうでなければ「何でも話そう」とは思えないのではないだろうか。

また、安全基地を求めるのが苦手な人でも、音楽、歌のおかげで慰めを求めやすくなることはある。聴くことで勇気や思いを思い起こてくれたりする。二人で聞いてほしい。

(参考 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

安全基地を持ててなかった人の安全基地

安全基地となる人に、自分がしてほしいことを言えなかったりする。もじもじするしかできなかったりする。それでもわかってくれる人、思いを汲み取ってくれる人が安全基地となり得る。

「不安なとき「不安だね」と言ってくれる人」や「思いを受け止めてくれる人」、「自分のこと一番自分のことわかってくれる人」、「自分のことをもっとわかってほしい人」、「いつも自分のことをわかってくれる人」が安全基地となり得る。

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