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基礎知識

愛着障害の克服方法は?|「安全基地」をつくって、「認知」を変える

【以前より当サイトを閲覧されている皆様へ】2020.3.7
当サイトで掲載していた「児童発達支援に関する記事全て(2つ)」にて、

・「『愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもをどう理解し、どう支援するか? アセスメントと具体的支援のポイント51』米澤好史 福村出版」
・「『愛着障害・社交障害・発達障害への「愛情の器」モデルによる支援の展開と意義―愛着修復プ
ログラムと感情コントロール支援プログラムの提案―』米澤好史 和歌山大学教育学部心理学教室」

の参考文献より、著作権上不適切な扱いをしておりました。権利者の方よりご連絡をいただき、該当記事は削除いたしました。

閲覧者の方には不適当な記事をご覧にいれてしまいました。大変申し訳ございません。

当ウェブサイトが行う、愛着についての医療・福祉・教育情報提供に関するコメント、参考文献一覧です。

愛着障害は克服するものだ。愛着障害の治すことによって、対人関係や人生を豊かにできる。この記事では主に愛着障害の治し方について説明する。安全基地を見つけることから回復は始まり、過去の傷を見直すことで現在まで続く悪循環を解決することになる。

愛着障害とは

「愛着障害」を抱えていると、対人関係や人生に課題や困難を抱えやすい。この「愛着障害」と「愛着スペクトラム障害」は同義である。愛着スペクトラム障害とは岡田 尊司 氏が提唱するものだ。愛着障害には虐待や親の養育放棄による「反応性愛着障害」がある。岡田氏はそれを狭義の愛着障害としている。そして不安定型愛着により支障を来している状態と、狭義の愛着障害を合わせて、広義の愛着障害としている。愛着スペクトラム障害のスペクトラムとは、症状が曖昧な境界を持ちながら連続していることを意味する。

・愛着障害と愛着スペクトラム障害は同義。

・愛着スペクトラム障害のスペクトラムとは、症状が曖昧な境界を持ちながら連続していることを意味する。

・狭義の愛着障害が反応性愛着障害を指す。

・広義の愛着障害は狭義のものと、不安定型愛着により支障を来している状態を指す。

・こうした不安定型愛着に伴って支障を来している状態を、狭い意味での愛着障害、つまり虐待や親の養育放棄による「反応性愛着障害」と区別して、本書では単に「愛着障害」と記すことにしたい。このような広い意味での「愛着障害」は、筆者が既に提起した「愛着スペクトラム障害」と同義である。
・不安定型愛着も含めた広義の愛着障害、つまり愛着スペクトラム障害には回避型と不安型のような正反対とも言える傾向をもったタイプがふくまれるが、その根底には、大きな共通点がある。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

愛着障害の詳細を以下の記事で詳しく説明している。

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「愛着」や「愛着スタイル」とは

愛着障害の「愛着」とは特定の人に対する特別な結びつきのことだ。また、人格のもっとも土台の部分を形造っているものである。脳内のホルモン作用がかかわる生理学的な仕組みである。その型として愛着スタイルというものがある。それは対人関係の在り方に大きな影響を与えるものである。また愛着スタイルは人付き合いだけでなく、その人の生き方にも大きな影響を与えている。愛着スタイルについて、以下の記事で詳しく解説している。

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安全基地があることで愛着を安定できる

今まで述べてきたように、不安定型愛着スタイルを抱えていると人間関係や生き方に症状といえるような課題を抱えやすい。人生をもっと生きやすく実り豊かなものしたい、今抱えているさまざまな問題を良い方向に解決していきたい、もっと幸福な人生を手に入れたい。このような愛着スタイルによる症状を回復しようと思うときには、「愛着の傷をいかに克服し、安定した愛着スタイルをもつことができるか。また、不安定な部分をいかに補えるか」が重要になる。

そのためには、その人の安全基地となる存在が助けになる。安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。対人関係において、その人が安心できる人のことである。幼児が不安になったときに、「ママ・パパ」と駆け寄るような相手である。幼児はそのように安全基地を頼り安心することで、また活発に行動できるのである。安全基地とは自分という存在が無条件に受け入れられる場所なのである。自分が何を感じ、何を思っているか、安心して話すことができる相手が安全基地になりえる。そのように自分が受け入れられると、自分の人生に対する主体性や責任を得ることができる。自分が大切にされることで、自分を大切にできるようになるのである。

・新たな認識と自覚を踏まえたうえで、どうすれば人生がもっと生きやすく実り豊かなものになるのか、どうすれば今抱えているさまざまな問題を良い方向に解決していけるのか、どうすればもっと幸福な人生に近づいていくことができるか。その問題を、もっとも根本的なところで左右するのが、愛着の傷をいかに克服し、安定した愛着スタイルをもつことができるか、不安定な部分をいかに補えるかなのである。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
・安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。
・無気力で、投げやりになっている状態。それは、主体性を奪われた結果、自分に対する責任を放棄している状態である。回避型の人が自分の人生から逃げているときも、同じことが起きている。その場合、主体性と責任を回復させることが、無気力で投げやりな状態から脱することを可能にする。(段落変え)そして、主体性と責任を取り戻させるために、もっとも有効な道が、その人の安全基地となることなのである。安全基地として機能し始めると、しだいに気持ちや意思を話せるようになる。
(引用 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

安全基地を見つける

愛着障害を克服するには、安全基地となってくれる人がいることが重要である。安全基地があることで、愛着を安定化することができるのである。親が安全基地として機能しない場合は、代わりの人が安全基地として機能する必要がある。困ったときに駆け込むことができる避難場所であり、安心できる居場所としてもらう。そうすることで、安全基地に駆け込む人は、安心でき、愛着の安定化を得ることができる。不安定な愛着スタイルにより人生に課題を抱えている場合も、愛着を安定させることでその課題に向き合っていくことができる。

また安全基地となる人には条件がある。それは、安全基地となる人の愛着が安定していることである。安定型愛着スタイルである人ということだ。かつて不安定型愛着スタイルを抱えていた人であっても、それを克服していることが必要である。パートナーや家族などが信頼できる安全基地として役割を果たしてくれることもあるだろう。そのように、身近にふさわしい人が見つからない場合は、信頼できる専門家も安全基地となってもらうのに適任である。

・愛着が安定化するかどうかは、安全基地となる存在に恵まれ、それがうまく機能しているかどうかだということを、これまでの章で繰り返し見てきた。
・しかしそうした場合も、愛着の課題を克服するためには、安全基地となる存在の媒介が、通常は不可欠である。親という本来の安全基地に代わる存在として、困ったときに駆け込める避難場所や、安心の拠り所を提供することで、本人の安定を図るとともに、本人が自分自身の課題に向き合うことを可能にする。
・課題を抱えている人が真剣に向き合おうと思ったときには、せっかくのチャンスを無駄にしないためにも、信頼できる専門家に助力を求めることをお勧めする。費用がかかったとしても、長い目で見ると、もっと大きな損失や危険を避けることにつながる。専門家を選ぶ場合も、変にカリスマ性の高い人や、安請け合いをする人は、用心したほうがいい。(段落変え)まず大事なことは、その人自身が安定型の人であるということだ。かつて不安定な愛着を抱えていたとしても、その部分を克服していることが必要である。
(引用 : 『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』岡田 尊司 光文社新書 初版)

安全基地となってくれる人には、「何でも話せる」という条件などが求められる。そのような条件を身に着けている、良い安全基地の作り方について、以下の記事で詳しく説明している。

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愛着の安定化から再認知がすすむ

愛着の安定性には、「認知」が深く関わっている。体験することをどう認知するかが愛着の安定性にとって大事なのである。不安定型愛着スタイルを抱えていると、事態を悲観的に認知しやすい傾向がみられる。では、「認知を悲観的なものから変えることによって、愛着が安定化するか」というと、そうはなりにくい。愛着が安定化した後で認知が変わることが、大多数を占めている。

安定した愛着の人は、体験したことにしっかり向き合う。その向き合い方も客観的であり、前向きなものになりやすい。心情的な過剰反応をするのではなく、事実を客観的に受け止めることで、事態に冷静に対処することができる。

・体験した事実が同じであっても、その人の認知が変わることによって、事実を肯定的に考えられるようになる。愛着の安定性は、体験した事実そのものよりも、それをどう受け止めるかという姿勢に左右されるのである。
・一言で言えば、「認知が変わることで、愛着を安定したものに変えることができる」のではないのか。(段落変え)その可能性を否定するつもりはない。しかし、そうしたことが起きたと断言できるケースは、実に稀である。まず愛着の安定化が起き、そこから認知が変わったというケースの方が圧倒的に多い。
・つまり、最初の変化は、いきなり認知の変化から起きているというよりも、何らかの体験、多くは支え手との出会いによって、愛着の安定化が起きていることが多いのである。
・安定した愛着の人は、身に降りかかった事態に向き合い、それをしっかりと受け止めるが、同時に過剰反応せずに、事実を客観的に見極めようとする。それによって、事態に即した対処を冷静にとることができる。
(引用 : 『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』岡田 尊司 光文社新書 初版)

「振り返る力 = メンタライジング力」で認知が変わる

客観的に事実を受け止めて、心情的な過剰反応しないことと最も関係していると考えられるのが、「振り返る力」である。「メンタライジング力」ともいう。これは、自分の思いや欲求に飲み込まれずに、相手の気持ちや自分のふるまいを客観的に見る力である。

振り返り力があることで、相手の気持ちを察することや、自分の行動を冷静に振り返ることができる。自分の行動を人間関係に寄与するものに変えるのに、必要な能力である。例えとして、二人で会話する場面を想定する。私が興味があることを一方的に話しすぎたとする。そこで、相手が話をできずにいやな思いをしていると気づく。それにより相手の興味のある話ができるように話題を切り替えるという対応をとる。そのような対応によって、相手は私に対する安心感や信頼感を取り戻し、人間関係を良好で継続的なものにすることができる。

・問題にしっかり向き合うと、同時に、客観的に事実を受け止め、過剰反応しないというスタンスと最も関係していると考えられるのが、「振り返る力」である。
・振り返り力がある人は、相手の気持ちを察するだけでなく、自分の行動も振り返ることができる。そういえば、最近少し相手に甘えて、メールを頻繁に出しすぎていたかなと反省する。それによって、自分の行動にブレーキをかけ、しばらくメールするのを控えることにする。すると相手は、自分の気持ちを汲んでもらえたことで、その人に対する安心や信頼感を取り戻し、人間関係が破たんすることが避けられる。
・振り返り力、メンタライジング力とは、今の自分の思いや欲求に飲み込まれず、相手の気持ちや自分のふるまいを客観的に見る力だといえる。
(引用 : 『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』岡田 尊司 光文社新書 初版)

「振り返り = メンタライジング」で過去の傷を再認知し、悪循環を断ち切る

メンタライジングによって過去の愛着の傷について再認知することで、愛着障害の克服につながる。例えば、その人の過去を紐解いていくことで、親に支配され、いつも顔色を見て機嫌をとってきた過去を思い出す。そうした過去の体験も視野に置きつつ、人の顔色ばかりうかがってしまうという現在の行動を振り返ってみると、自分が過去の体験を再現しているということが理解される。このように、愛着の傷となっている体験から、現在の行動に至るまでを理解したとき、人は心を強く動かされ、認知や行動の修正が起きやすくなる。過去の愛着の傷による行動が原因で、現在の愛着関係を破壊しようとしているという悪循環を断ち切ることができるのである。

・メンタライジングを高めるMBTも、認知に働きかける治療の一つだといえるだろう。
・それに対して、MBTでは、その人の過去を紐解いていくことで、親に支配され、いつも顔色を見て機嫌をとってきた過去を、記憶によみがえらせる。そうした過去の体験も視野に置きつつ、人の顔色ばかりうかがってしまうという現在の行動を振り返ってみると、自分が過去の体験を再現しているということが、さまざまと理解される。
・つまり、愛着の傷となっている体験まで翻って、現在の行動を理解したとき、人は心を強く動かされ、認知や行動の修正も起きやすいのである。
・このようにメンタライジングは、過去の愛着の傷によって起きていることが、現在の愛着関係を破壊しようとしているという悪循環を明らかにする。
(引用 : 『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』岡田 尊司 光文社新書 初版)

「安全基地」でみる社会

ここまでの解説で「安全基地」をミクロの視点で紹介したきたが、次にマクロの視点でみる。マグロの視点でみることで、愛着が社会全体にもたらす影響を理解できる。

安全基地が皆にあることが社会の利益になる

愛着の3つの特徴、
・誰もが他人から愛着への影響を受け、他人の愛着へ影響を与えている。
・愛着障害はスペクトラム障害である。
・誰もが愛着障害になりえる。
この3点から、「社会の構成員が相互扶助で回避型を含む愛着障害と向き合う」ことが必要だと考える。皆が、「安全基地」を頼り、自らも誰かの「安全基地」になることだ。

誰もが愛着障害になりえる。愛着は大人になった後でも、他者とどんな関りをするかによっては、ネガティブな影響を受ける。スペクトラム障害であることもあわせると、誰もが愛着障害を抱えることと身近であるといえる。実際、「『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版」によると、不安定型愛着を示す人口は全体の「三分の一」にも達するようだ(*1)。愛着障害はスペクトラム障害であり、程度に差はあれ、愛着障害を抱える人は身近にも多く存在することになる。

誰しもに「安全基地」があり、自らも誰かの「安全基地」となる。愛着について、相互扶助が行われる社会にする。そうすることで、効率よく愛着障害と向き合うことができると考える。愛着障害の罹患経路・症状は多くの人が経験する。互恵的に安全基地となることで、愛着障害となったものが救われ、新たに生み出さない社会に近づくと考える。

(*1)2011年発行の書籍、調査の詳細は本文に未記載。著者に対するこの記事執筆者の信頼性から引用することにした。

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