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不安定型愛着スタイルが原因のもの

「感情表現が苦手」な原因は回避型愛着スタイル|それを治すには?

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他人へ感情を言葉にして伝えにくい。うれしいや、楽しいといった感情をなぜか他人へ伝えにくい。嬉しいのだけれども、それを他人へ上手く伝えることができない。それらは回避型愛着スタイルが一因であると考えられる。回避型愛着スタイルを含む愛着スタイルを知ることで、悩みへの理解を深めることができる。

愛着スタイルが原因

回避型愛着スタイルは愛着スタイルの一つだ。その「愛着」とは、特定の人に対する特別な結びつきのことだ。また、人格のもっとも土台の部分を形造っているものである。そして「愛着スタイル」とは、対人関係の在り方に大きな影響を与えるものである。愛着スタイルは人付き合いの型とも言えるものであり、生まれてからの人付き合いが愛着スタイルを形作っていく。産みの母との関わりを筆頭に、父、育ての母、祖父母など、さまざまな他人との関わりが愛着スタイルを形作っていくことになる。社会で生きるとは人付き合いの連続であり、その原点となるのが彼らである。彼らとの付き合いによって、相手に助けを求めることや、その結果をどれだけ期待するかといった愛着スタイルが形造られる。

また愛着スタイルは人付き合いだけでなく、その人の生き方にも大きな影響を与えている。

・愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、人格のもっとも土台の部分を形造っている。
・愛着とは、先に述べたように特定の人に対する特別な結びつきである。
・そうした対人関係のパターンを、知らずしらずに支配しているのが、その人の愛着スタイルだと考えられるようになっている。愛着スタイルは、その人の根底で、対人関係だけでなく、感情や認知、行動に幅広く影響していることがわかってきた。パーソナリティを形造る重要なベースとなっているのである。
・愛着スタイルは、他者とつながり、相手から慰めや支えを得ようとする行動面だけでなく、自分が助けや慰めを求めたときに、相手がどう応じるかについて、どんな期待を持ち、どれだけそれを当てにしているかという心理的な面にも関係する。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
・愛着スタイルは、幼いころからの母親との関わりに始まり、さまざまな対人関係を経験する中で確立されるもので、単に心理学的というだけでなく、生物学的な特性でもある。
(引用 : 『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

愛着スタイルの分類

その愛着スタイルには大きく分けて安定型と不安定型の2つがある。不安定型は、さらに不安型、回避型、恐れ・回避型、未解決型に分けられる。安定型、不安型、回避型、恐れ・回避型、未解決型だ。

・愛着スタイル→「安定型」と「不安定型」

・不安定型→「不安型」と「回避型」と「恐れ・回避型」と「未解決型」

・愛着スタイルは、大きく安定型と不安定型に分けられ、不安定型は、さらに不安型(とらわれ型。子どもでは両価型と呼ぶ)と回避型(愛着軽視型)に分けられる。不安型と回避型の重なった、恐れ・回避型(子どもでは混乱型)や、愛着の傷を生々しく引きずる未解決型と呼ばれるタイプもある。
(引用 : 『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

各愛着スタイルの特徴を以下の記事で詳しく説明している。

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不安定型愛着スタイルが対人関係に問題をもたらす

回避型の愛着スタイルを抱えていると、パートナー(妻や夫、恋人など)の感情に共感することが難しくなることがある。不安型の愛着スタイルを抱えていると、パートナーに対する要求が社会一般のものより過大になりやすい。過剰に好意の承認を求めたり、過剰なコミュニケーション頻度の要求などだ。不安定型愛着スタイルは対人関係に問題をつくるきっかけになりやすい。幼いころに安定した愛着を築けず、他人への不信感を抱えることが建設的な人間関係を築きにくくしている。他人を信じることができず、人間関係を避けるか、人を求めても多くの不安を抱えるかにわかれる。前者が回避型愛着スタイル、後者が不安型愛着スタイルである。

・相手にとっては少しショッキングなことであるが、回避型の人にとって、たとえ愛するパートナーが苦しんでいても、そのことを自分の痛みのように共感することは難しいのである。
・とくに不安型の女性の場合、不満やストレスを、パートナーに対して強くぶつける傾向がみられる。それは、不安型の人が、パートナーに対して不満を強く感じたり、パートナーは自分に何もしてくれていないという思いを抱きやすいことと関係しているだろう。
(引用 :『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)

愛着スタイルは生き方にも大きな影響を与える

また愛着スタイルの影響は対人関係のみに収まらない。人付き合いの型である愛着スタイルは、生き方にも大きな影響を与える。

例えば、回避型の愛着スタイルを抱えていると、自分の人生に対する積極的な行動をとることが難しくなる。自分の人生であるのに、どこか流れされるような生き方に終始しやすい。彼らは自分を大切にすることを身に着けられていないことが多い。愛着スタイルが確立される段階で自分が大切にされていないと感じるためである。すると、人生に対する無気力さや無関心さ、投げやりさを覚えやすい。悩みがある状態ときに仕事のやる気が出にくいことを想像していただければわかりやすい。

・どういう愛着スタイルをもつかにより、対人関係や愛情生活だけでなく、仕事の仕方や人生に対する姿勢まで大きく左右されるのである。
・その人の愛着スタイルは、対人関係に本質的とも言える影響を及ぼすだけでなく、内面の在り方や、自己コントロールの仕方、ストレスに対する敏感さにも反映される。何を望み、何を恐れ、どのように自分を守り、どのように自分を律しようとするか─意思決定と行動選択の根幹に関わる部分でも、見えない腕となって結果を操っているのである。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
・回避型の人の行動における特徴の一つに、無気力・無関心・投げやりさがある。自分のことなのに、どこか他人事のように、空々しい態度をとったり、どうでもいいという投げやりな姿勢をみせる。生きようとする根本的な意欲をもてないので、目先の快不快や興味に、その場しのぎの救いを求めようとする。
(引用 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

愛着スタイルは生物学的な特性

また、愛着スタイルは心理的なものであるが、同時に生物学的なものでもある。不安定型愛着スタイルがもたらす問題は、心だけが原因ではないのである。愛着という現象はオキシトシンなどのホルモンの働きによって支えられている。オキシトシンは脳内の受容体に採り入れられて、効果を発揮する。効果とは、安心感を覚えたり、愛着スタイルが安定するように働いたりする。そのオキシトシンの働きをよくするには、脳内のオキシトシン受容体が多いことが求められる。オキシトシン受容体が多いかどうかには、幼いころに安心できる養育環境で育ったかどうかが関係している。安心できる養育環境であればオキシトシン受容体が増えやすい。オキシトシン受容体が多く、オキシトシンがよく働くと、子育てや対人関係に積極的・建設的に向き合っていきやすい。一方その逆だと、積極的・建設的に向き合っていきにくい。

不安定型愛着スタイルを抱えている人は対人関係が少ないことがある。それはストレス過剰などで子育てや対人関係が減少しているだけでなく、安定的な愛着スタイルを抱えている人と比べると、ニュートラルな状態で子育てや対人関係への積極性が少ないことが原因である。ニュートラルな精神状態のときでさえ、子育てや対人関係に無理を感じることがある。

・愛着という現象は、オキシトシンとアルギニン・バソプレシンと呼ばれるホルモンの働きによって支えられている。
・では、オキシトシンの働きの違いは、何によって決まるのだろうか。(段落変え)実は、その最大の要因は、幼いころに安心できる養育環境で育ったかどうかということなのである。安心できる環境で育った人は、脳内にオキシトシン受容体が増え、オキシトシンがスムーズに作用するので、その働きがよい。
・恵まれない境遇で育った子どもが、成長した後、社会性や対人関係の維持、子育てにおいて困難を抱えやすいのも、単なる心理的な影響ではなく、オキシトシンなどのホルモンからなる生物学的な仕組みが、うまく機能しなくなることが原因だったのである。
(引用 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

安全基地があることで愛着を安定できる

今まで述べてきたように、不安定型愛着スタイルを抱えていると人間関係や生き方に症状といえるような課題を抱えやすい。人生をもっと生きやすく実り豊かなものしたい、今抱えているさまざまな問題を良い方向に解決していきたい、もっと幸福な人生を手に入れたい。このような愛着スタイルによる症状を回復しようと思うときには、「愛着の傷をいかに克服し、安定した愛着スタイルをもつことができるか。また、不安定な部分をいかに補えるか」が重要になる。

そのためには、その人の安全基地となる存在が助けになる。安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。対人関係において、その人が安心できる人のことである。幼児が不安になったときに、「ママ・パパ」と駆け寄るような相手である。幼児はそのように安全基地を頼り安心することで、また活発に行動できるのである。安全基地とは自分という存在が無条件に受け入れられる場所なのである。自分が何を感じ、何を思っているか、安心して話すことができる相手が安全基地になりえる。そのように自分が受け入れられると、自分の人生に対する主体性や責任を得ることができる。自分が大切にされることで、自分を大切にできるようになるのである。

・新たな認識と自覚を踏まえたうえで、どうすれば人生がもっと生きやすく実り豊かなものになるのか、どうすれば今抱えているさまざまな問題を良い方向に解決していけるのか、どうすればもっと幸福な人生に近づいていくことができるか。その問題を、もっとも根本的なところで左右するのが、愛着の傷をいかに克服し、安定した愛着スタイルをもつことができるか、不安定な部分をいかに補えるかなのである。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
・安全基地とは、いざというとき頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。
・無気力で、投げやりになっている状態。それは、主体性を奪われた結果、自分に対する責任を放棄している状態である。回避型の人が自分の人生から逃げているときも、同じことが起きている。その場合、主体性と責任を回復させることが、無気力で投げやりな状態から脱することを可能にする。(段落変え)そして、主体性と責任を取り戻させるために、もっとも有効な道が、その人の安全基地となることなのである。安全基地として機能し始めると、しだいに気持ちや意思を話せるようになる。
(引用 :『回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~』岡田 尊司 光文社新書 初版)

安全基地をつくり、その後愛着障害を克服するながれについて、以下の記事で詳しく説明している。

まとめ

愛着スタイルによって人付き合いの型がつくられ、生き方にも大きな影響を与えている。感情表現が苦手なのは、愛着スタイルが他人へ自己開示することを避ける方向へ作用していることが多い。愛着スタイルを安定させることで、少しずつ他人へ自己開示できるようになると考えられる。

こちらの記事では「愛着障害の基本知識」、「愛着スタイル診断テストをするにあたって知っておいていただきたいこと」、「不安定型愛着スタイルが原因であると考えられる症状」を説明しています。

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愛着スタイルが対人関係に与える影響、生き方に与える影響は多岐にわたる。当サイトでは、これらの影響を含め、愛着スタイルの情報を多く発信しています。関連記事などよりさらに情報をご覧いただけます。

最後に、引用している書籍の「岡田 尊司」氏 は、京都府にある「岡田クリニックの院長を勤めている。当サイトでは、岡田氏の著書から多く引用をしている。愛着スタイルの症状を克服することや、安全基地について知ることができる書籍を、多く執筆されている。ここでは「書籍『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書」(※0)を紹介する。著者による治療をもとに書かれた治療例や、稲田山頭火など偉人といわれる方の愛着スタイルの推察など、多く学ぶことができる。さらに巻末の愛着スタイル診断テストにより、ご自身の愛着スタイルを自己診断いただける。一人で、質問に答える形式で、自己診断していただける。

(※0) 少なくとも初版には記載。

・精神科医。作家。現在、岡田クリニック院長(枚方市)。東京大学文学部哲学科中退、京都大学医学部卒、同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神科医学教室にて研究に従事。
(引用 : 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田 尊司 光文社新書 初版)
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